場所は田舎
道路沿いにたまーに農家がある以外は畑だけ
女子高校生カナは学校まで徒歩40分かかる
ところを自転車通学していた
カナは金曜日が一週間で一番嫌いだった
おじさんが開いている護身術教室に
通わなければならないからだった
5月30日金曜日
ひとよりイタチを見かける回数が多い田舎道で20歳そこそこの男が
向こうから自転車を漕いでやつてきた。
すれ違うまでの間、男はスカートの中をびっくりしたような目で見て
いった。
そして、彼女は気づいた。ショートパンツを穿いていないのを忘れてた。
男は、女子高生とすれ違ったことに運命めいたものを感じていた。
専門学校を中退してから2年あまり、外出しないで家にいた。
外出することが珍しい自分に人気のない道で自分好みの女子高生に
それも下着が丸見えの状態で出会ったことをできすぎだと思っていた。
6月6日金曜日
あの日、カナは自転車ごと用水路に落ちた。
オタク風の青年にパンツを見られて動揺したのが原因だった。
自転車が買ってもらえず徒歩で通学している。
男は毎日、女子高生が通る場所に通っていた。
笹藪の中に隠れていた。
男は彼女が自転車通学していない理由を勝手に想像した。
盗まれてしまったのではないか。
女子高生が目の前を通った。
男は笹藪から飛び出した。そして背後から抱きついた。
次の瞬間、世界が縦回転した。投げ飛ばされたのだった。
カナは人気のない通学路を全力で走り「勝った、勝った」と
勝利の味に酔っていた。
ガチで襲ってくる変質者を投げたことに満足していた。
6月13日金曜日
男は自分より体の小さい女性に投げ飛ばされたのが不思議で書店に
格闘技系の本を探しに行って、アルバイト募集の張り紙を見て
もし女子高生が被害届を出していたら逮捕されるかもしれない。
22歳無職より22歳アルバイト店員のほうが裁判官の心証がよくなる
だろうとバイトをはじめた。
そして、自転車で笹藪に向かった。
男は彼女と一緒にいたくて近づいたのに、むこうが勘違いして逃げようと
したから抱きつき投げ飛ばされたことの誤解を解こうとしていた。
カナはきのうまで警戒して通学路を変えていたが、1週間経ったのでので
大丈夫と思い、いつもの道を歩いていたら二歩半の先に変態抱きつき魔が
立っていた。
カナは「仲良くしましょうね」といい、男は「僕が思った通りのひとだ。
僕のこと理解してくれたんだね」と言った。
カナは「近づくな、近づいたら大けがします」といい、男は「俺のこと
悪い奴だと思っている。だったら勘違いだ」と言った。
男は「自分から誘惑しておいて」といい、「パンティー見せられたらおかしく
なっても不思議じゃない」と言った。
カナはこの日も男をブン投げた。
そして「襲ってきても無駄。何度でも返り討ちにしてやる」と言って立ち去る。
6月20日金曜日
この日もカナが勝った。
6月27日金曜日
男は今日も負けたが4戦目にして20秒は持ったと思った。
7月4日金曜日
カナは来週から期末テストだった。
今日で戦いを終わりにしたいと考えていた。
男は「こういう形でなくて、普通に会うことができないか」と聞いた。
カナは「私は女子高生で、あなたは変質者。友達になれないです」
なんとも妙な関係で、だけどお互い会わないとお楽しみがないという
ふたりのバカが終わりのない闘いを繰り返すというお話しでした。
変におかしかった。
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読書を楽しむ「越谷オサム 金曜のバカ」
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