がんの告知を受けて気が動転していても、この本なら読めそうな気がする。読んでいるうちに、落ち着いて告知を受け入れていけそうな気もする。活字はおおきめ、行間もおおめに開けられ、話題ごとのページ数はすくない。そして、ですます調のやさしい言い回しだ。 目次を見れば、読まなくてもおおよそ内容はおしはかることができそうだが、本書の値打ちは、内容そのもの以上に、著者の経験に裏打ちされた包容力のようなものを、行間から得られることのように思う。それはやさしさと言ってもいい。がんと告知された心の動揺を、信頼できる人に話しても、その人がその種の経験に欠けるなら、ともに動揺し、沈黙するだけかもしれない。しかし、著者はちがう。みずから告知し、動揺し苦しみ、がんを受容するためのたたかいを患者と共に生きる経験を積み重ねてきている。そうした経験からうみだされる言葉は、やはり重い。やさしい言い回しではありながら、荒れ海に翻弄される小船が、投じられる錨によって安定をとりもどすように、著者の言葉は安心感をうみだすにちがいない。そう、感じる。(以下、『まえがき』から抜粋) 《がんは決して不治の病ではありません。上手に付き合うことで、他の病気も予防し、ときにあなたの人生を輝かせ、生きている意味に気づかせてくれるはずです。/ そして、この本を最後まで読んでくださった方は、もう一つの大切なメッセージに気づくでしょう。/ それは、がんであっても、がんでなくても、「心のありかた」が健康に大きくかかわっているということ。つまり、どんな人でも健康で長生きしたいのなら、まずは「心」を元気にするのが大切だということです》。
↧







