■ヒトコト感想
御手洗潔を中心とした短編集。石岡は当然として、過去の作品に登場したレオナが再登場するなど、御手洗潔シリーズファンにはうれしい短編集だ。御手洗潔の能力の高さがこれでもかとアピールされている作品ばかりなので、御手洗好きにはたまらないだろう。
学生時代の御手洗の物語もあるが、いつものとおり、現在の御手洗と変わらず、未来が予言できるかのような推理と、もったいぶりながら結論を先延ばしにするスタンスは変わらない。ミステリー一辺倒ではなく、心の中がホンワカするようなハートウォーミーな物語もある。石岡と御手洗の関係の強固さと、御手洗の交友関係の広さなど、長編作品ではうかがい知れない部分も描かれており、ファン必読の短編集だろう。
■ストーリー
「神の暗号だ!」消えた謎の美女と店で頻発する便器盗難事件。奇妙な出来事の想像を絶する接点(「IgE」)。看板に集中した弾痕。ハーヴァード大時代の天才的推理を発掘(「ボストン幽霊絵画事件」)。名探偵の秘めた素顔が深く心を打つ「SIVAD SELIM」「さらば遠い輝き」。御手洗の現在と過去、本格の未来を照射する事件簿。
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