舞台は北の港町
女は32歳で余命いくばくもない夫と借金を抱え
途方に暮れていた
病院で偶然出会った男は、幼馴染だった
男と女は金も身寄りもない住まいだけの長屋で
生まれ育ち、ボヤ騒ぎを起こし、追い出され
お互い消息が不明だった
漁業と炭鉱が主力産業の港町・釧路で田所修司は車の修理と中古車の販売を
生業にしていた。
妻の圭とは36歳のときガソリンスタンドで知り合った。
圭は14歳年下だった。
ふたりには頼りになる親兄弟がいなかった。
そして、40歳半ばで修司が倒れ入院した。
重度の肝硬変で手の施しようがない状態だった。
修司はひとがよいため売掛金が回収できず借金になっていた。
修司は圭に債務を相続させないために籍を抜いてくれと頼んだ。
病院のロビーで圭は「下の町(金も身寄りもない人間がせめて住まいだけでもと
集まっくる場所)」で育った博人と出会った。
下の町は住人がよく入れ替わった。死んだり逃げたりは日常茶飯事だった。
下の町は6戸長屋で圭と博人は長屋の端と端に住んでいた。
圭の母親はばくち打ちで、博人の母親は私娼だった。
ふたりの母親は、ひとりは賭場で血を吐いて亡くなり、ひとりは首を吊って死んだ。
圭と博人は長屋のボヤ騒ぎで追い出され、圭は中学の担任に引き取られ卒業まで
面倒をみてもらいガソリンスタンドへ就職した。
博人は、どこへ行ったか分からなかった。
博人が病院にいたのは取引先の見舞いだった。
圭は夫の病状と戻ってこない金の話を洗いざらいした。
博人は明日また病院で会おうと言いメモを渡し、メモに書いてある書類や印鑑
を用意しろと圭にいった。
博人は、人と人との間に入って、ものごとを進める仲介人をしていると言った。
翌日、博人は病院の食堂で圭から書類等を預かり、債権譲渡契約書を書かせた。
田所修司は博人に会った1ケ月後に亡くなった。
博人は顔を見せなかった。
夫の遺骨を胸に抱いて、どこへ向かおうか考えていたときに、玄関の前に
車が止まり博人が顔を出した。
ウールのコートのポケットから厚みのある封筒を取り出し圭の手に握らせた。
回収できなかった金が入っていた。
駅まで送ってほしいと頼んで後部座席に座った。
ラジオから若い歌手のかすれ声が「泣いている君はブルースー」と歌っていた。
博人が生涯に関わった8人の女を描いた連作短編集のひとつ。
人生では途方に暮れても運が良ければ誰かがおせっかいをやいてくれる。
雪の季節に雪国が舞台の物語を読んでホットするのもいいものです。
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読書を楽しむ「桜木柴乃 ブルース」
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