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【書評】城山三郎『零からの栄光』

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大戦末期の傑作機、紫電改を産んだ川西航空機の波乱万丈のドラマです。

零からの栄光 (角川文庫)

零からの栄光 (角川文庫)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
  • 発売日: 2013/02/25
  • メディア: Kindle版
川西航空機は、川西家の個人会社のような形でスタートしました。 金ばかり食う飛行機開発ですが、社長が技術者たちの熱意に巻き込まれ、いつしか飛行バカの集団となって行きます。 もちろん採算は度外視。本家の倉庫業の儲けをジャブジャブつぎ込みますが、なかなか商売には繋がりません。技術は上がり続けます。 そうして二式大艇という傑作機が完成し、終戦末期には紫電改を世に出し、一気に大会社に膨れ上がります。 しかし、敗戦で零からのスタート。 技術者集団だけに商売はからっしきダメで、彼らの悪戦苦闘ぶりが笑いを誘います。 社名も新明和と新たまり、技術を生かして様々な分野で活路を見出していきます。 そうした中でも飛行機を忘れず、ついに新たなる機体を世に送り出します。 次々と襲ってくる困難と時代の波をひたむきに乗り越えていく人間たちのドラマが、小気味良いテンポでまとめられています。 城山三郎の絶頂期ともいえる四十代前半の作品で、しかも得意分野の航空機を扱っています。 代表作のひとつとなってもおかしくない小説だと思います。

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