バーミリオン星の女性大統領パオラ・ロドリゲス・フェアファックスからの呼び出しを受けたルシファは、完全武装解除で彼女の私邸に招かれる。大統領はある秘密の頼みごとのために、彼を呼び出したのだった。惑星政府中枢まで食い込んだ謎の敵イヴル。老獪だが孤立無援の大統領は、ルシファを否応なく危険な罠の中に送り出し…。
アラムート先生が格好イイです。ニコルの記憶は戻らないのかしら。か弱いだけの美人なんて残念すぎます…。抜き出そうと思った場面が、ルシファとマルっちの会話ばかりでした(笑)。マルっちの前だと割と気を抜いているルシファと、応用力があるのに根っこは常識人ぽいマルっちの組み合わせは楽しいです。
ルシファのパパママのエピソードが気になって、喪神の碑とかカワランギとか手を出したいところなのですが。あれ古いから紙の状態がいまひとつなのです。1回本屋で買ってあまりの状態の悪さに読まずに手放したことがあり。ウィングス文庫はキレイだから余計に気になるんだ…。再版してくれないかなー。
「なぜ突然のデス宣告?」
「お前は今、自分が他人の目にどう映っているかなんて考えもしないだろう」
「同じ格好をしていた時、鞭を持たせれば完璧だとドクター・アラムートに言われたことがあったケド?」
深く考えもせず尋ねた憲兵隊隊長は答えの異常さに唖然とし、続いて徐々に顔から血の気が引いていく。
「……要するに、法律を守るとか……他人の生命と財産を尊重するとか……そういうレベルで生きていない種族なんだな?」
美しさも力も地球人の常識を軽く吹き飛ばす種族がすでに滅んでいるという事実は、銀河系に生きる人類にとって非常に幸運だと言えた。
ルシファード一人が存在するだけで、周囲はこれほどの混乱と争乱の渦に巻き込まれる。
そんな人間が集団でいたらと想像すると、怖くて生きていけない気がするので、すぐに考えるのを止めた。
黒髪の友人の言葉に思い出したらしいマルチェロは、思わず身震いしてうなる。
「誰にだって、生理的に苦手なものはあるだろうがっ」
「ああいう生きものは、生息地に戻すのが一番いいと思う」
「そうだな。俺やお前が引き取って矯正してやるいわれはなかった」
パトリックが気持ち悪くて敬遠したいのは双方同じだった。自分の熱血な発言の責任を取らずにすんだ憲兵隊隊長は、安堵しつつ同意する。
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