『感情で釣られる人々』 堀内進之介 2016/07
著者は政治社会学者。 理性より感情に働きかける社会の傾向について考察する本。
近年の心理学的な研究は、理性は感情をコントロールするどころか、むしろ「理性は感情の奴隷である」という証拠をいくつも発見している。
ウソつきとホラふきの違いは何か。ウソつきは、何が正しいのか分かった上で、間違ったことを相手に伝える。ホラふきは、そもそも正しいか間違っているかどうかを気にしない。両方とも、結果として相手をだますことには違いはない。しかし真理に対する態度は、決定的に異なっている。
アメリカの道徳哲学者フランクファートは、もっともらしいだけで何も言っていない、ウソとも本当ともいえないようなことを言うホラふきたちをウンコな論者、その議論を「ウンコな議論」と呼んだ。ウンコな論者はその場で思いどおりに自分の話をすることさえできれば、事実の探求にも他人の説得にも関心がない。フランクファートの言うとおり、「ウンコな議論は真実にとって嘘以上に手ごわい敵なのである」。ウンコな議論はなくならない。私たちは感覚的に、もっともらしく分かりやすい議論を好むからだ。
感情的になること自体は否定されるべきでもないし、その必要もない。大切なのは、感情的であることと同時に、それを自覚することであり、無自覚にならないための予防をすることだ。
各政党は、丁寧に政策の説明やビジョンを提起するよりも、いかに有権者の感情を刺激して投票に結びつけるかに躍起になっている。
マーケティングの重要な変化は、「何が事実か」よりも、「どう認識させるか」だ。広告のキャッチコピーでは、事実よりも、「業界ナンバーワン」「新進気鋭」「全米が泣いた」といった、メッセージが伝える高揚感が重視されている。
(政治への)感情による動員が必要だという人々は、まるで私たちの社会が理性を中心に回っているかのようにいう。しかし、理性的すぎることが問題になるほど人類が理性的であったことは一度もない。
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感情で釣られる人々
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