リンジー・フェイの『ゴッサムの神々』です。舞台は1845年のニューヨーク。主人公は、できたばかりのニューヨーク市警 の警官ティム・ワイルド。
ティムは警邏中に血まみれのネグリジェ姿の少女と出会う。 やがて、少年の惨殺屍体が発見される。そして、その少年が働いていた売春宿を見つける。そこでの証言をもとに、19もの大量の遺体を発見する。この事件を、バーテンダー時代に養った観察力を活かしてティムが解決する。というのが、あらすじです。
ただし、本当の主人公は1845年のニューヨークと言って良いでしょう。日本でいえば黒船来航の8年前になります。アイルランドでは、ジャガイモの不作で、大量の移民がアメリカに渡ってきます。そして、カトリックとプロテスタントの宗教問題もはらみ、混沌とした時代。そのニューヨークこそが、本編の主人公ですね。
読後感もさわやかな印象です。ティムが想いを寄せる女性マーシーとの関係も、良い結末のつけかたでしょう。描かれている事件や世相のわりには、明るい希望を持たせる終わり方はGoodです。
ゴッサムの神々<上> (ニューヨーク最初の警官) (創元推理文庫)
- 作者: リンジー・フェイ
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2013/08/10
- メディア: 文庫
ゴッサムの神々<下> (ニューヨーク最初の警官) (創元推理文庫)
- 作者: リンジー・フェイ
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2013/08/10
- メディア: 文庫