小説 「はじしらずの パープルヘイズ」
上遠野浩平(かどのこうへい) 集英社(¥1365 税込)
オススメ度 ★★☆☆☆
漫画の「ジョジョの奇妙な冒険」を未読、特に第4部と第5部を未読なら、全く面白くないと思います。
既に自分の「生き方」を決め終わった人(≒大人)も、あまり面白くないと思います。
あと「国語力」「文章力」といった事を気にする方は、読まない方が良いです。
というわけで星を3つ減らしました。
以下、ネタバレです。
「恥知らずのパープルヘイズ」は、「ジョジョの奇妙な冒険」の第5部、「黄金の風」のスピンオフ作品。 といっても、ジョジョ…の作者が書いたわけではなく、別作者の作品だ。 ただし本文イラストは「荒木飛呂彦」氏が描いている。 夫が「オールスターバトル」(ゲーム)を買ったところ、その中に出てくる登場人物に、この作品がかなり反映している事がわかり、読んでみることにした。
作者違いの番外編が本編に取り込まれているという、不思議な状態。気になるよね。
そもそも、『黄金の風』は、イタリアのギャング(マフィア)の話。
日本で言えば任侠モノだ。
マフィアに所属する人たちが主人公なのだから、
彼らが口にする「正義」とか、「正しいこと」とかには、既にフィルターがかかっている。
それは「善良」とはかけ離れている。
○○のためなら何人であろうと殺人も辞さない、という考え方は、私には受け入れがたい。
例えば「金のためなら殺人も辞さない」となれば、ただの悪人でしょう。
私は、主人公がこういう考え方をするという点で、他のジョジョ作品と「黄金の風」は全く違うと思う。
(それこそが、ディオ(悪役)寄りのジョジョであるという証明なのかも知れない。)
それはさておき。
…おかないと、話が続かないので。
「黄金の風」では、マフィア組織の数人が、ボスに反旗をひるがえす。
しかしその時、一人だけ戦線から離脱する若者がいた。
それが「恥知らず…」の主人公、フーゴだ。
結局、ボス討伐は成功して、新しいボスが誕生する。
<ここまで漫画版の話>
<ここから下が小説版の話>
ボス討伐に参加しなかったフーゴは、いわば敵前逃亡者。
「前のボスに逆らう気がなかった=新しいボスに従う気がない」という図式になってしまった。
フーゴは、「新しいボスに従う」ことを証明する為に、
「新しいボスに従う気が無い者」を始末するよう命じられる。
追跡の道程で、彼は何度も繰り返し、自分の心を省みることになる。
なぜ自分はマフィアに所属する事にしたのか。
なぜその時の仲間と一緒に、最後まで行動できなかったのか。
裏切り者の自分に、何が求められているのか。
自分はなぜそれに応えようとしているのか。
振り返り、思い出し、後悔したり、正当化したりする。
青いねぇ。
私はむしろ微笑ましい気持ちで読んだけど、
一緒になってグラグラする年頃の読者の方が、多いのかも知れないですね。
途中で年長者が彼に数々のお説教をするのも漫画チック。
真面目な「生き方指南」なんだけど。
まあ説教ですね。
終盤、対決シーンの大詰めに向けて、ついに彼は何かを把握しそうになっている。
私も「感動的になってきたな」とジワジワしながら読んでいると、
「星が申し訳ない程度に瞬いている」
え? 申し訳程度 じゃなくて?『いやー少なすぎて悪いねー』的なコト?
「逢瀬する恋人たち」
え? それを言うなら逢引?逢瀬は「逢う機会」だし…『科学する』とか『タバコする』的な新しい用法?
……。
怒涛のように私の気に障る表現が出てきてビックリした。
やめてー。感動したいのにやめてー。
ラストは、漫画でいえば大ゴマなんでしょうが、文章だと数行。
ちょっとあっけなかったかな。
フーゴの能力は少し変化(進化)する。(この能力がゲームに使われている。)
エピローグは、第5部のラストシーンと同じ違和感があった。
私は第5部のラストシーンが嫌いです。
ジョジョなのにディオみたいで。何様だよ?って感じで。
「恥知らずの…」でも「神様かよ?」って感じ。
やっぱり、ジョジョだけどディオなんだな。
※余談ですが。
(1)途中で出てきた少女キャラが妙に「デッドマンワンダーランド」のシロちゃんを想起させたんですが、わざとなのでしょうか。何か意味があったんでしょうか?
(2)シーラの設定がエルメェスと丸かぶりなのはご愛嬌として、オープニングで印象的に描かれた割には、最後は放置?
(3)ポルナレフ氏はまだ亀なの?
(4)ジョルノは、悪事以外の何を資金源にして組織を維持するんでしょう。スピードワゴン財団の傘下に入るのかな?
(5)全体に「じゃないか」と「じゃあないか」が混在していた。どちらか一方にしようじゃあないか。
「恥知らずのパープルヘイズ」は、「ジョジョの奇妙な冒険」の第5部、「黄金の風」のスピンオフ作品。 といっても、ジョジョ…の作者が書いたわけではなく、別作者の作品だ。 ただし本文イラストは「荒木飛呂彦」氏が描いている。 夫が「オールスターバトル」(ゲーム)を買ったところ、
ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル (通常版) (初回封入特典 プレイアブルキャラとして「吉良吉影」が使用可能になるDLコードがついた「川尻早人メモ」! 同梱)
- 出版社/メーカー: バンダイナムコゲームス
- メディア: Video Game