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「偶然」と「運」の科学

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『「偶然」と「運」の科学』 マイケル・ブルックス 2016/09 「偶然」と「運」の科学 編者はニューサイエンティスト誌の顧問。 第一線の科学者が「偶然」について解説するエッセイ集。  突き詰めると、偶然は物理法則のもっとも基本的なプロセスであるらしい。 新たな発見に出くわせる最善の場所に身を置くことが、その確率を高めるのだ。「チャンスは心構えができている人だけをひいきする」というルイ・パスツールの言葉は、実は真剣に受け止めるべきなのだ。  大きい月が安定的に重力を及ぼすことで、地軸の傾き”横道傾斜角”が一定になる。もし月が存在せず、横道傾斜角が大きく変動していたら、極端な気候変動で、複雑な陸棲生物に適した環境は存在していなかったかもしれない。  単純な細胞が生まれてから複雑な生命が進化するまでに、地球の年齢の半分に近い歳月がかかった。さらに、単純な細胞から複雑な生命への変化は、40億年にわたる進化の中で一度しか起こらなかった。 およそ20億年前、1個の単純な細胞がなぜか別の細胞の中に入り込んだ。そのような提携関係は、単純な細胞ではとてつもなく稀である。つまり、単純な生命から複雑な生命への進化の道筋は、けっして必然ではない。  種分化は単なる運命の偶然であるらしい。種分化から種分化までの期間は、78%が指数分布に一致する。つまり種分化は一度の稀な出来事、いわば青天の霹靂によって起こる。  運とは、ランダムな出来事を自分の得になるように使う準備ができているかどうかにほかならない。実際に自分の運を高めることができる。 運の良い人は、決まって正しいときに正しい場所にいて、他の人より多くの機会を手にし、”楽しい生活”を送っていた。運の良い人は、たとえば人脈を作ったり、新たな経験を受け入れたりすることでチャンスを作ってそれに気づく能力に長けていた。運の良い人は、未来は幸運な出来事に満ちていると信じている。  ゲーム理論によれば、じゃんけんの最適な戦略は、ランダムに手を出すこと。現実の秘訣は、最初にグーを出さないこと。どれもうまくいかなかったら、パーを出すのが基本。ある調査ではグーが35%。オンラインじゃんけんゲームの1000万回の記録でもグーが36%でもっとも多い。  一見したところランダムな効果が生じているのは、ほぼすべて、人間の無知など、この世界について知りうることに制約があるからだ。


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