都会に生物が住むというのはなかなかに難しい。 植物が育つには環境が大事なので、都会の特殊な環境下では育たない植物というのがある。また、そうした植物を餌にしている昆虫も都会では生きられない。昆虫を餌にしている動物も生きづらいということになるだろう。 都会は生態系が乏しいので、住み着くことのできる生物には限りがあるのだ。 カラスは都会で生活をすることのできる限られた生物のひとつである。 なぜ彼らが生きることができるのかというと、雑食でありスカベンジャーであるからなんだそうだ。生きている餌だけではなくて、動物の死骸を食べて生きることができる。 都会には死肉なんてないんじゃないかとも思えるが、実はカラスにとっては豊富な死肉が存在する。それは人間の出すゴミ袋である。ゴミ袋の中にはたくさんの食べ物が転がっている。 カラスは動物の死骸をくちばしで突く要領でゴミ袋を突く。ゴミ袋を突いている行動は一見器用な行動に見えるが、カラスにとってはごく自然な行動だったのだ。 「カラスの教科書」という本は、こうしたカラスの生態について詳しく解説した一冊である。 道を歩いているとよく見かけるカラス。カラスがどんな生活を送っているかなんてあまり考えたことはなかったが、カラスの暮らしぶりも詳しく見ていくと結構興味深い。 カラスはそこら中にいるから、楽々生きているのかと言えばそうでもないらしい。生まれたひな鳥の中で巣立ちできるまで育つのはごく一部だし、巣立ちしてからも事故にあったり、食べ物にありつけなかったりで、死んでいく者がほとんど。子孫を残すことができるのはごくわずかの個体のみ。 本書を読むと、カラスも都会で結構苦労しているんだなあということが分かることが書かれてあって、カラスが一気に身近なものに思えてくる。これからカラスを見たときには、結構頑張っているじゃないかと応援したくなってくるような本だった。
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