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たぶん、おすすめでない本。

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藤本晃 『浄土真宗は仏教なのか?』 サンガ 2013年6月1日 2000円+税

浄土真宗は仏教なのか?

浄土真宗は仏教なのか?

  • 作者: 藤本晃
  • 出版社/メーカー: サンガ
  • 発売日: 2013/05/27
  • メディア: 単行本
いま届きました。 目次、パラ見、ともにいろいろがっかりな内容で、なんかしんどそうです。 うーん。 ただ、本願寺派と袂を分かったいきさつは、どっちもどっちかなあと思いました。もうちょっと言い方・やり方があると思う。というか、真宗のお寺で真宗以外の人を呼ぶなというのは、まったくおかしい。すべてを味わって「やっぱり真宗でよかった」と思えば良いので、もし藤本氏の報告の通りだとしたら、組のこの言い分はちょっとまずいと思う。 ……でも、たぶん、お互いに誤解し合ってるんでないかと思う。この本で藤本氏が語る内容を見る限り、藤本氏がすべて正しいようにはまったく思えない。組が完全に正しいとも思えない。だから「どっちもどっち」と。 すごくいやだなあと思ったのは、あとがきに 「このような現状ですから、この本が上梓されれば、特に浄土真宗(西)本願寺派のお坊さんの多くから不興を買うことが予想されます。」 とあることです。(なんかどっかの新宗教みたい。) わたしは経緯ではなく、この本の内容を内容として問題にしたいのだけど、それまで含めていきさつから怒っているっぽく曲解する気がまんまんなのではないか。そのように思えるのはちょっと残念。 大乗非仏説論を考察するところで浄土三部経を「偽経」だと言っているけど、これは間違いと言うよりは勘違いだと思う。偽経は「中国成立のお経」という意味の術語。三部経は(『観経』は微妙だが)インド成立なので、自分で考えて内容がアレだとしても偽経とは言わない。……ということは、こういう勘違いによる術語の選択ミスが結構ある本なのだろうか?とも思う。地の文がいちばん危ない本の典型かなあと思ったり。安心論題を「権威」といったりするのもおかしい。権威はどっちかというと勧学寮でしょう。というか、安心論題綱要は一人で読むべき「本」ではない。内藤先生の解説書だけではちょっとわからない。「師匠」みたいな人があった方が良い。 (……あ、そっか、藤本氏の師匠は真宗ではないのか。じゃあ宗学がわからなくてあたりまえかと思う。師匠を得ることはとても大切なことだと思うけど、じゃあ師匠と同じものを名乗れば良いのになあと思う。) 親鸞さまのように読み分析し味わうことを目的としつつ自分で勝手に読んでしまっているところがかなりありそうだなあと予測したり。(予測。) ともかく、宗学を極めたから宗学が駄目だと言っているのではないことは、今のところ確実であるように思えています。(パラ見ですが。)真宗学を理解しているから真宗学がだめだと言っているのでもない。ああ、かつての自分を見ているようでいろんなところがむずむずする。(はずかしい。) 前書きでは「真宗学」を「解体」するって書いてあるけど、知らないものは解体できません。建物に鉄球をぶつけて破壊することを指して「解体」という、それと同じことがしたいというのなら解体かも知れませんが、肉の解体のように、きちんとスジとか見極めてやってもらわないと、きちんとした解体にはなりません。 そして、ではこの藤本氏は何を自分の救いと聞いているのか、それがとても気になります。それはパラ見ではわからなかったので(真宗はテーラワーダと同じところを目指してるから良い、的に言ってるところがあるけど、これはちょっとおかしい。それなら真宗を聞いていないことになる。でも「浄土真宗」を名乗ることにこだわっている以上、そうではないはず。ということが示すパラ見の限界。)、一冊ていねいに、そこを読んでいけたらなと思います。 ということで、今はものすごいイライラして読み始めるわけだけど、態度的には、たぶん納得いくところもあるんでないかと思います。 ただ、教団のやり方が気に入らないからといって、よく知らない宗学の大事なところを誤解したままで、真宗じゃない教えに傾倒して、それで真宗を完全に理解したつもりになって何か言ってる本ではないことを、願いつつ、読みます。

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