野口卓の「遊び奉行」

本書は、野口卓の「軍鶏侍」シリーズのver0.0版です。物語の舞台である園瀬藩の権力闘争を描いた作品で、後のシリーズにつながる作品。主人公が藩主の長男ということもあって、暴れん坊将軍的な流れになっています。軍鶏侍シリーズが藤沢周平の作品に近いのに対し（下級武士や庶民が主役）、本書は東映時代劇のよう。面白くないわけではないのですが、軍鶏侍のような面白さかといえばそうでもない。軍鶏侍シリーズと時期がダブっていれば、サイドストーリーとして楽しめたかと思いますが微妙にずれている。残念です。

もっとも藩上層部の事情？は分かったので、今後の軍鶏侍シリーズにどのように影響してくるかが楽しみです。今後のシリーズの広がりに期待大です。