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M・ブルガーコフ『犬の心臓・運命の卵』(新潮文庫)

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人間の器官を移植された犬が大暴れする「犬の心臓」、生命力を高める光線が引き起こす騒動を描く「運命の卵」の二本立てです。どちらも奇想あふれるSFでありながら誰もそういう読み方をしないし作者もそのつもりで書いたのではなさそうな気がしてしまう、そういういびつさが忘れがたい印象を残します。 まごうかたなきSFであるのは間違いなく、それと同時にみごとな風刺文学でもあります。何を言ってるんだかさっぱりわからないナンセンスなコントでありながら、知ってる人が見れば何の話をしてるかが全部わかってしまうので、こりゃ関係者の皆さんはたまったもんじゃなかったでしょう。 悪趣味すれすれの展開はどうしても受け付けない人もいると思いますが、SFとしての尖りっぷりはもちろん、ソ連批判の書であったはずが今では西側諸国批判の書にも見えていました。既になくなったひどい国のひどい話だと思っていると、予想外のところからかみつかれますよ。 ていねいな訳注が当時のソ連のありようを教えてくれるのでソ連初心者も安心です。一人の作家の目を通して見る在りし日の20世紀ロシアという趣を感じますね。 犬の心臓・運命の卵 (新潮文庫)


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