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明日があるなら

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明日(あす)があるなら

明日(あす)があるなら

  • 作者: シドニィ シェルダン
  • 出版社/メーカー: アカデミー出版サービス
  • 発売日: 1988/07
  • メディア: 単行本
 映画でも小説でも、主人公が絶体絶命のピンチに陥るほど面白い。どうやって窮地を脱するのだろうというところが、サスペンスものの一番の読みどころといえる。  シドニイ・シェルダンの「明日があるなら」は、まさにそんなハラハラドキドキの展開を味わうことのできる作品だった。こんな絶望的なシチュエーションがあるかというくらい、主人公がひどい目にあうのである。  主人公のトレイシー・ホイットニーは、若くて美貌に恵まれた銀行員。大富豪の御曹司と婚約もしていて、順風満帆の人生を歩む女性だ。  幸せの絶頂にあった彼女のもとに、ある日、悲痛な知らせが舞い込む。トレイシーの母親が自殺をしたというのである。マフィアの関係者に母親が経営していた会社を乗っ取られ、苦悩の末の自殺だった。  怒りに燃えたトレイシーは母親をだました男のところに謝罪を求めに行くが、逆に男に襲われた挙句、都合のいいように利用されてしまう。ありもしない濡れ衣を着去られ、警察に逮捕される。弁護士も判事もマフィアに買収されていて、トレイシーは15年もの刑を言い渡されて、非情にも刑務所へと送られることに。  そして、その刑務所は生き地獄のような場所だった……。  話の第1部は女囚の収容されている監獄が舞台。囚人たちの日常が結構詳しく書かれている。映画とかにもときどき出てくるけれど、アメリカの刑務所はこんな怖いところなのかと思った。どこまで本当なのかわからないが、本書の中では囚人の中にもボスのような存在がいて、ボスのいうことを聞かないと、ひどい目に遭ったりするということが書かれている。  主人公のトレイシーはここでもさらに徹底的にイジメぬかれる。看守からは嫌がらせをされ続け、囚人からも襲われる。身ごもっていた赤ちゃんまで死んでしまう。  全てを失い、絶望の淵に落ち込み、あらゆる希望を失ったかに見えたトレイシーだったが、ひとつだけ生きる目的が見つかる。それは、自分をこんな目に合わせた人間たちに復讐をすること。どうやって敵に目にもの見せてやるか、復讐計画を練り上げ始める。  現代版「巌窟王」といった雰囲気の作品。やはりこういう復讐ものは何度読んでも面白い。もはや定番という気もするが、脱獄だの復讐だのといった話には普遍的な引きつける力があると思う。シドニイ・シェルダンの味つけのしかたもうまい。よくこんなおぞましいシチュエーションを考えるなという場面が出てきて、怖いもの見たさで続きが気になってしまう。  とにかく読んでいて元気がもらえる本である。逆境に耐え抜くヒロインの姿がいい。こんなにひどい状況でも前を向いて頑張っている主人公に思わず共感させられる。  前半は読んでいて息がつまるような話だったが、逆転に次ぐ逆転で、スキッとさわやかな読後感。主人公と一緒に「シャバの空気はおいしいなあ」というような気分に浸ることのできる、清涼剤のような一冊だった。

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