こんにちは、koh_kokuです。 沼田まほかるさんの書かれた小説で手にとった最初の一冊なのですが 表紙絵からして不思議な感じを受けます。 初め、女性が懐に何かを大事に抱えて蹲っている仕草を私は “他者の拒絶”と認識したのですが、読み終えるとそれは “抱えるものへの愛情”を示す姿にしか見えなくなりました。 皆さんはどんな印象を受けたでしょうか。 話の内容としては、主人公である亮介の恋人の失踪に始まり、 母の突然の死、更には父の末期がんが判明する。 そんな中、亮介は自宅で誰かが書いた過去の殺人を告白する日記を 発見してしまう。 どう考えても書いたのは自分の父か、もしくは母だとしか考えられない。 創作にしてはあまりにも生々しいその告白は、亮介自身を混乱の淵に 追いやって行く。 このような感じで、始まりはとても不穏な感じなんです。 でも、読み進めていく内に、この物語が愛と幸福を語っているのだ ということがはっきり分かります。 それが普通一般の形を成してはいないのですが。 むしろ、異常としかいえません。 でも何故か、全てを肯定させられてしまうのです。 展開は読んでいて驚きの連続で、この家族の謎が全て判明した時 きっとあなたも温かな気持ちに包まれると思います。 これまでも、度々“愛”(「僕は明日、〜」での恋愛や「杜子春」 での父母愛など)について考えていますけど、たった一人では いくら考えてみても答えの出ない感情ですよね。 愛することは他者を介さないと到底知り得ないはずの感情だと思います。 何かしらとの相互関係が生じないと存在に気づけないなんて 不思議なものです。 感情という捉えどころのなく束縛できない存在をここまで巧妙に 言葉で具現化する沼田さんの筆力に本当に敬服します。 興味のある方はぜひ読んでみてくださいね。
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