『強い日本を取り戻す!』 辻貴之 2013/06
著者は高校教諭を経て著述家。 日本の政治思想についての本。
戦時下の日本は右翼体制であった、というのが従来の考えだ。しかしマルクス主義とファシズムは同根もしくはそれに近い関係であった。つまりマルクス主義を標榜する全体主義が左翼で、マルクス主義でない全体主義は右翼・ファシズムとみなされた。
GHQにはノーマンやビッソンのような左翼がいた。日本の戦後はGHQの社会主義的政策から始まったと述べる。
アメリカには左翼勢力が無い。リベラルな民主党と保守の共和党で政権交代を繰り返している。一方で日本はリベラルと左翼の区別があいまいである。全体主義に通じる左翼とリベラルは、本来明確に区別すべきもの。
保守系のコラムニスト、コールターは、「保守派は神の姿に似せて人間が創られたと思っているが、リベラル派は自分たちが神だと信じている」と述べる。
保守派は人間の愚かさに注目し、リベラル派は人間の賢明さに焦点を当てる、ともいわれる。
ゆとり教育は、リベラル勢力による「日本壊し」の一環だったと述べる。文部省・日教組・マスコミの理念派の内部に破壊衝動が潜んでいて、子供の学力低下に快感を味わっていたという。
保守の思想はイギリスで生まれ、キリスト教の性悪説と深い関係にある。一方で日本の伝統的な人間観は、助け合い・性善説に傾いている。同じ保守主義でも内容が異なる。
(欧米では)自由の理念を重視するのが保守思想、平等の理念を重視するのがリベラル思想。
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