僕のイケメン「擬態」は成功だった。厭らしく見えない程度に開けた胸元から、黒く艶やかな肌に映えたシルバージュエリーと、折見え隠れする割れた胸筋。 毎日、茹で卵と鶏のささ身を食べては、ひたすら腹筋に励んだかいがあった。宴会の間は、絶えず女性が勺に来た。お開きの頃にはすっかり出来上がり、残っていたのは数人の男だけだった。 「あれ、テツヤは来てないの?」「…そうか。お前は知らないのか。よし、二次会はあの店で決まりだ!」僕はふらつきながら、裏通りから更に外れた怪しげなバーに連れて行かれた。 扉のプレートには『秘密の花園』。開けると、直ちに「いらっしゃ~い」の濁声が、床を突き上げるように聞こえてきた。 <つづく>
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