【書評】山本一生『競馬学への招待』

競馬に関する悲喜交々のドラマを簡潔にまとめた良著です。

本書は日本競馬だけでなく、世界の話題を集めています。 空馬の話から、ダービー誕生の秘話。ライバル物語に、競走馬の血統理論を突き詰めようとした生産者たち。さらには競馬犯罪までと著者の筆は幅広く伸びていきます。また、単に事件を描くだけでなく、その背景も豊富な薀蓄を交えて書くことで、その事件の意味を読者は知ることができます。 著者は文学にも詳しいのでしょう。 ときおり挿入される文学エピソードが、競馬ストーリーに鮮やかな色彩を添えます。文章も読みやすくて、ついついその語り口に引き込まれてしまいました。 最近は馬券を購入していませんが、若い頃はよく競馬場でレースを観戦していました。 昔の記憶を思い出したりで、とても面白く読むことができました。