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タイトル長すぎ、西内啓の本

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サラリーマンの悩みのほとんどにはすでに学問的な「答え」が出ている (マイナビ新書)

サラリーマンの悩みのほとんどにはすでに学問的な「答え」が出ている (マイナビ新書)

  • 作者: 西内 啓
  • 出版社/メーカー: マイナビ
  • 発売日: 2012/03/23
  • メディア: 新書
内容(「BOOK」データベースより)
停滞する日本経済、職場の人間関係、仕事の成果が思ったように上がらない―。このようなサラリーマンの一般的な悩みについて、世界中の学者が研究を進めています。そして近年、着実にこの悩みに対する「答え」は出そろい始めているのです。さあ、みなさんも一緒に、世界最高の学者たちが導きだした世界最高の「答え」を手に入れましょう。
以前、『統計学が最強の学問である』という同じ著者の本を当ブログで紹介したことがあるが、ベストセラーとなった前著から間髪入れず、書店が2匹目のドジョウを狙って店頭の目立つところに陳列しはじめた。『統計学~』の方が先に発刊されたのかとずっと思っていたが、実は本日紹介する新書の方が発刊は1年早かったことがわかった。タイトルがクソ長い上に、装丁も魅力に欠け、『統計学~』のヒットがなかったらこの前著に日が当たることはなかったに違いない。 ただ、そうした見た目の悪さを差し引いたとしても、この本は意外といい。書かれていることは僕たちサラリーマンが日頃の経験を通じて感覚としてはわかっていることなのだが、それをちゃんとした学術研究の成果を根拠にして支持しようと試みている。断わっておくが、これらは研究者としての著者が自ら取り組んで実証した研究成果ではない。そのほとんどが別の研究者が取り組み、学術誌や書籍で発表している論文からの受け売りであり、その点では本書にオリジナリティはない。おそらく、著者ご本人が今後の自身の研究活動のために、先行研究がどういうものなのかを調べる中で、他論文で引用される回数が多かったり、著者の目から見て有用だと思われる論文を幾つか選び、それに解説という付加価値を付けてまとめたのが本書だ。 影響力のある世界の最先端の思想に効率的に行き着くためには、こういう解説書があってもいいと思う。項目が幾つかに分かれており、そうした中で、「内発的経済成長理論」、「行動経済学」、「ポジティブ心理学」、「組織行動論」、「プロジェクト・マネジメント」等といった領域での研究のフロンティアを解説し、そこから僕たちサラリーマンの日常生活への適用という点での示唆を列挙している。重要なポイントは太字で強調されており、後から読み返すのにも役立つ。そんなに目新しいというものでもないけれど、道に迷った時には読み返してもいいような本だと思う。あるいは、日頃経験値としてわかっているようなことを、ちょっとばかり学術研究の箔を付けて、後輩に薀蓄として語るには格好のネタ本となるだろう。 ちなみに、本書の各章末で1冊ずつ紹介されている参考文献は次の通りである。
ソウルフルな経済学―格闘する最新経済学が1冊でわかる

ソウルフルな経済学―格闘する最新経済学が1冊でわかる

  • 作者: ダイアン・コイル
  • 出版社/メーカー: インターシフト
  • 発売日: 2008/12/05
  • メディア: 単行本
予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 増補版

予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 増補版

  • 作者: ダン アリエリー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2010/10/22
  • メディア: ペーパーバック
世界でひとつだけの幸せ―ポジティブ心理学が教えてくれる満ち足りた人生

世界でひとつだけの幸せ―ポジティブ心理学が教えてくれる満ち足りた人生

  • 作者: マーティン セリグマン
  • 出版社/メーカー: アスペクト
  • 発売日: 2004/06/15
  • メディア: 単行本
【新版】組織行動のマネジメント―入門から実践へ

【新版】組織行動のマネジメント―入門から実践へ

  • 作者: スティーブン P.ロビンス
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2009/12/11
  • メディア: 単行本
世界一わかりやすいプロジェクト・マネジメント【第3版】

世界一わかりやすいプロジェクト・マネジメント【第3版】

  • 編者: サニー・ベイカー、キム・ベイカー、G.マイケル・キャンベル
  • 出版社/メーカー: 総合法令出版
  • 発売日: 2011/07/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
実践入門 ポジティブ・サイコロジー 「よい生き方」を科学的に考える方法

実践入門 ポジティブ・サイコロジー 「よい生き方」を科学的に考える方法

  • 作者: クリストファー・ピーターソン
  • 出版社/メーカー: 春秋社
  • 発売日: 2010/04/02
  • メディア: 単行本
こうして、参考文献を最低でも1冊は挙げている点は評価したい。ただ、本文を読んでいくと、参考文献リストには載っていないけれども引用されている研究論文が何編か存在する。原典にあたりたいと思った読者は僕以外にもいるに違いないが、論文のタイトルも発表年も掲載された学術誌のタイトルもわからず、調べるのに難儀する。新書版という制約はあったのかもしれないが、ちょっと不親切だなというのも感じた。 第3章で成功する人間としない人間を分けるものが何かを論じているあたりで、自分自身が成功しない人間の方に分類されてしまうことがわかり、そのあたりから読み進めるペースが落ちたというのは認める。逆に、第5章の「長続きする結婚の特徴」は、僕の場合は結構当たっているかもしれないと思い、救われた気もした。本書のネタをここでいちいち詳らかにするのは紙面の制約もあって難しいが、せめてこの最後のポイントぐらいはご紹介しておこう。
偉大な哲学者の見識においても、最新のポジティブ心理学の知見においても、豊かで満ち足りた人間関係、そしてその中でも恋愛や夫婦の関係というのは、人間の幸せを大きく左右するものなのです。(p.206)

ハーバード大学でポジティブサイコロジーに基づき、幸せとは何かを学生に教えてきたタル・ベン・シャハーは(中略)、人間が、無条件で愛されているという認識さえあれば、自分にとって有意義で楽しめることを、自分の情熱に従て行動するよう促されるのだと指摘しています。(p.207)

【長続きする結婚の特徴】
◆朝出かける前にお互いの予定を確認する
◆仕事が終わったあと一緒にたわいもない話をする
◆触れ合ったり手をつないだり抱き合ったりキスしたりといった行為全てに優しさと寛大さがある
◆リラックスした雰囲気の中で2人きりで愛情を確かめ合うデートをする
◆毎日少なくとも一度は感謝や愛情をあらわす

(p.211)
ここで得られた知見が生かせるような部署に、早く移れることを祈りつつ…。

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