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一銭もつかわず電子書籍をつくる 3

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 さて「wordで作り込みすぎない」「wordの機能をあてにしない」がこれまでですが、今回は「文字」の話です。文字/フォントの扱いについて。  まず、これはそんなに気にしないでも大丈夫だろうと思いますが、とりあえず特殊なフォントは使わない。ま、word上でビブロスなどの外字を使う人は少ないでしょうが、ともかくそういったフォントは使わない。使っても表示されないからです。  それから、気取ったフォントも使わない。いえ、使ってもいいけど意味がない、と話したほうが正確でしょうか。  とはつまり、そもそも電子書籍にはミンとゴチしかないからです。なのでポップ系の書体や楷書・教科書体などの書体を使っても、ぜんぶミンかゴチに変換されます。  それからその明朝体でも、リューミンやらヒラギノやら小塚やら、フォントの指定はできません。  電子書籍ではフォントは、各社の電子書籍ビューアに入っているものが使用されます。つまりどんなフォントで入力していようが、KindleやらKinoppyやらに最初から入っているフォントに置き換えられて表示される。なので「ここは小塚でアクセントつけたいよなあ」とか思ってもムダ。  んでさらに、そのアクセントで言うと、ここが肝腎なんですが、  文字のウェエイトは「ナミ」か「太字」しかありません。つまりDTPなどで、リューミンのL・R・M・Bあたりを使い分けアクセント/差別をつけることはよくありますが、そういう器用なことは電子書籍ではできません。「ナミ」「太字」「イタ」この3種類で差別化するしかありません。  ただこれは、逆にwordに慣れてる人のほうがイメージしやすいし、使いやすいものでもありましょう。wordで文字にアクセントをつけるとしたら「ナミ」「太字」「イタリック」のどれかですからね。  それから肝腎なのをもうひとつ。ミンとゴチの使い分けです。  これも差別化でよく使う手ですが、電子書籍ではやっても意味がない場合があるので、この効果も期待しないほうがいいです。なぜか?  まず、本文フォントをミンにするかゴチにするかも、ビューアが決めることがあるからです。たとえば今回カズノで利用したRomancerさん。ここのビューアはWebブラウザを利用したものですが、PCでは本文フォントはミンです。けれどスマートフォンでは丸ゴです。  あるいは、そのRomancerさんでつくったうちの『読書入門+』のデモ版。これは原稿データでは見出し(章見出し)もミンにしてあるのですが、Romancerさんでepubに変換したらゴチになりました。たぶん「見出し(章見出し/大見出し)」と判断されると自動的にそうなるのだと思います。(ちなみにスマートフォンでは変換は行われず、丸ゴのままですが)。  という風に、ビューアやデバイス(端末のことですね。PCかスマートフォンかタブレットか)によってミンかゴチかが変わってくる箇所があるわけです。  たぶん本文中のミンやゴチの差別化はまま反映されると思いますが、上記のように、一律に丸ゴにされてしまう例もあるので、そうなったらそうなったで仕方ないと思っておくほうがいいでしょうね。  epub変換時にゴチにされた見出しをミンに戻すなど、あとから修正することもできるのですが、これもけっこう専門的な知識が必要になりますし。  電子書籍の基本は「デバイス依存」です。こちらの意図どおりに表現し読ませる紙書籍との、決定的な違いはこれです。受け手の環境によってどう表現されるかは変わる──版元にそれは決められない。これまでとまったく逆の関係ですが、これに慣れないとなんないわけですな。  文字まわりに関して覚えておいたほうがよいことを、まとめるとこんな感じです。 ・電子書籍には明朝とゴチックしかない ・フォントはビューアに入ってるものになる ・文字のウェイトは、「ナミ」か「太字」しかない ・その他で差別化するとしても「イタリック」しかない ・ただしその差別化も、ビューアやデバイスによって反映されない場合がある ・電子化変換時に、強制的に差別化される場合もある  なのでこれも、「word上であれこれ作り込んでも意味がない」ことのひとつになるわけですね。  ほんとにベーシックな部分での作文/制作にこそ力を入れないといけない。あれこれフォントを変えて差別化して、「効果的」「読みやすい」をやれない。そういう、わるくいえばギミックが通用しないのが電子書籍なんですね。


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