著者はヤナセ、阻止絵ワールドなどなどで新卒・中途採用業務に携わったのち、飲食チェーン経営や資格就職会社経営などを経て、現在は転職・就職などの支援、人事コンサルてぃぐや人事・人材業務全般にかかわる活動をする会社の社長。面接した人は1万人と書いてあった。 企業にとって人は財産。 人事部は採用してそれでおしまいにしないで、採用した人に十分力を発揮してもらう。あるいは見込み違いなら、配置転換などで生かせる場所を探す、どうしても活用できないならやめてもらうところまで面倒をみるべきと説く。 「できる人」は社内における自分の存在価値がわかっている人。 「君が必要だ」の一言が「できない人」を「できる人」に変わることがある。 採用したとき「できる人」であっても、環境が悪ければ能力を発揮できず「できない人」になることもあるし、その逆もある。 伸びる企業は既存社員が新入社員のいいところをみつけ「できる人」にしている、当然定着率もよい。 必要とされることが「やる気」を生み出すのである。 できる人の定義 ・仕事に対してポテンシャルが高い人 ・企業で必要とする専門知識、技能を持っている人 ・チャンスを的確に捉えて行動できる人 ・愛社精神が強い人 ・問題改善意識を持ち、行動できる人 ・周囲の人間を引き込む魅力がある人 ・責任の取り方を理解している人 ・論理的な考え方を持ち、説明ができる人 ・我慢強く、あきらめない人 ・やさしさとタフさを兼ね備えている人 ・相手の気持ちをくみ取れる人 ・自分のことより、相手のことを考えられる人 ・リーダーシップを発揮できる人 ・自らのビジネス上の強みと弱みを把握している人 ・失敗を次の成功につなげられる人 ・逃げない人 ・数値面に強い人 ・固定観念に固まっていない人 ・鋭い感性で、気づける人 第1章 「できない人」の対応策 「できない人」は根本的に常に仕事を「yらされている」というスタンスで取り組んでいる。 できる人にするためには本人のモチベーションを上げること 人事にできること ・上司と部下のありかたを考える ・社員の環境・生活スタイル、考え方などを総合的に把握 一人一人に合った方法でないと効果がない。 できない人の例とその対応 ・必要ない資格取得に夢中になる・・現在の仕事に興味ないというメッセージかも ・正しい敬語を使えない・・本人に恥をかかせないように自覚を促す。外部講師など ・終業時刻30分前からそわそわし、すぐに帰社する・・・仕事の割り振りを考える。仕事を評価してから、仕事が終わらなくても帰社しているなら、残業してても仕事を終わらせるようにときふせるべき ・待遇面に固執する・・やる気があり仕事に信念を持っているケースもあるので慎重に。他の社員と比較して不満を持っているケースが多い、できない場合は待遇をよくしても数か月もしないでまた不満をぶつけてくることも多い ・突然、出社しなくなる・・・在職中に兆候があるはず、無理に出社させようとしてもうまくいかない、そのような社員が多いなら環境に目尾wむけよう ・ビジネスマネーを心得ていない・・・名刺の渡し方、電話対応、冠婚葬祭マナーなど、既存社員から指南役を抜擢し彼らの自覚を促す方法を推奨していた。 ・人の目を見て話ができない・・・自信がないのか、興味がないのか見極めが大事 ・仕事の優先順位を理解していない・・・進め方を手取り足取り指南するべき、それでも改善しない場合は叱責する必要があるかも ・指示待ちの仕事しかできず、自ら考え、行動しない・・「忘れていましたすみません」をくりかえす。仕事で興味あることをまかせてみよう。 ・報告・連絡・相談を軽く考える・・報告された側もきちんと対応すること。本人だけの問題でない場合もある。 ・問題を自分のものととらえず責任転嫁する・・個人が問題を抱え込まず、後悔できる土壌が必要。上司が部下に責任転嫁するならその下には「できる人」は育たない ・どんなときでも自分を正当化する・・・過去の経験を持ちだして、固定概念で自分を正当化する人がいる。間違いを責めても無駄なのでやるべきことを指示する。問題解決後に相手の主張をきこう ・場の空気を読めない・・間違いを指摘してあげよう ・興味のない話をきけず、理解しようとしない・・興味ない仕事でも面白みをみつけられる仕掛けが必要。また本人に自覚をうながすこと ・組織に溶け込めない・・・本人と信頼関係を気付くことが第一 ・「できない人」同士の仲間を作りたがる・・・集団ではやっかいなので個別に責任ある仕事を与えフォローして昇格をもりこもう ・自分の能力を過大・過小評価する・・過大評価の人は悪影響を与え、過小評価の人は人材を活かせないことがある。評価の方法が大切。 ・専門知識の不足を理解していない・・人事は社員の職務能力について理解し、経験を棚卸して足りない知識を得る努力をするよう、社内勉強制度や、昇給やポジションについて考えるべき ・上司の顔色だけを木にして要領よくふるまう・・・上司が部下の本音を見抜く免疫力がいる。同僚との仲が悪くコミュニケーションがとれていない社員はこういうひとが多い ・何かにつけて転職を周囲にちあrつかせる・・・いきなり「辞めないでくれ」などといわず、考えや目標を聴こう。上司と話しているばかりでいつまでも転職しなければ周囲も気にしなくなる。 「できない上司」の例と対応策 できない上司=部下に愛情を持てない上司 威厳をたもつことがリーダーシップだと勘違いしている人もいる。 「できない上司」に意見できるのは、その上司、経営者、人事しかいない。企業が繁栄するためには「できない上司」との関係が悪くなっても「できる人」を育てる環境が必要。 ・身銭を切ろうとしない ・武勇伝ばかり話す ・身を守ることを優先する ・ちょっとしたことで気持ちが乱れ、表情が変わる ・注意・叱ることができず、感情で怒る ・部下の心をくみ取れない・・・新人教育を社員に任せっぱなしにして、うまくいかないとその社員が悪いという。 ・森をみず木を見る・・・失敗を結果のみで判断し経過をみない ・異性問題を引きおこす 「できない人」のモチベーションを高めさせる秘訣 「がんばれ」だけでは意味がない。 企業が社員に求めるものを明確に示すこと。 社員はそれを達成したとき満足と充実を感じて次の仕事への意欲を燃やせる。 特に転職者は前職と比較するので、初日の受け入れ態勢で本人のモチベーションが決まると思っていていい。 社員全員ともに頑張ろうとする姿勢を示す仕組みができあがれば社員は想像以上に力を発揮するものだ。 ・人材育成に必要な課題と人材開発方法を把握する。中・長期敵に必要な人材を検討し、プランを明確にする、短期間で大幅な修正をしてはいけない。 ・ミッションを正確に示す。期待されていると思うと使命感が湧き、行動につながる ・じっくり聴き、反応をする・・相手の言葉だけでなく、表情やしぐさ、行動から気持ちを察しよう。そして反応しよう。 ・新入社員には労働条件、待遇面を明確に示す。入社前の条件と相違していても新入社員は指摘できず不満をためてしまう。 ・新入社員は完璧な受け入れ態勢で迎える・・・必要な備品類や名刺を用意して、歓迎の気持ちを示す。受け入れ態勢チェックリストがあった。 ・新入社員をフォロー・・・初日、1週間後、1か月、3か月とフォロー。入社前に期待していた能力を発揮していないなら、環境などをチェックして、問題を考えてみよう。 ・新入社員はブラザー、シスター制度でバックアップ・・・歳の近い既存社員に面倒を見てもらう。わからないことを聴きやすい環境をつくる ・フラット、逆ピラミッド型組織を構築する・・・上層部が現場第一主義を徹底し、社員が現場でやりがいを見いだせる組織をつくる。指示、情報がスムーズに伝わる組織をめざす ・社員の誕生日を祝う・・・帰属意識がうすれてきているので、慰労会や忘年会などをおしつけるより誕生日を祝う方がいい ・「クレド」を社員が作成する・・・社員全員の共通理念が企業を強くする。企業の発展と従業員の幸せをリンクさせる。他社との差別化が社員定着率を高める ・社員それぞれがキャリアプランをたてる・・・制度をつくり、チャンスを公平に、社員がなりたい自分になれるポジション・職務を用意する キャリアプランの例 ・4回ほめて1回しかる法則を使う・・・社員に常に成長してもらいたいという気持ちが大切 ・失敗は成功のためにあるとする社風をつくる ・仕事を最後まで任せて自信を与える ・昇格者研修で、「できる人」への意識を認識させる・・・魅力的な「上司」でなければ後継者は育たない。昇格が魅力的な給与体系をつくる ・降格者に対し、「できる人」への意識改革を行う・・・復活できる人事制度を作る、あいまいな降格はいけない ・人事異動により環境を変え、社員が活躍できるフィールドを作る・・・環境で能力を発揮できないケースを理解する。「できない人」の人事異動は一定期間、人件費予算枠外にして、移動先の上司の指導力に期待する。 ・社員の精神的な安定を保つため、同僚とのコミュニケーションの場を与える・・・同期とのコミュニケーションは大切。産業カウンセラーなども活用して、心の問題に対処。 第4章 「できない人」をスキルアップさせる妙技 スキルや知識が不足している「できない人」を「できる人」に変える為に、常時社員にスキルの重要性を意識させること。社員の現在のスキルと目標とするスキルを人事が把握していれば適材適所の人事異動が行える。さらに会社がスキルアップを奨励し、給与や昇格と結びつけて後押しする。スキルを高めるのは面白いこと。「できない人」が「できる人」に変わる可能性がある。 ・社員の職務能力をキャリアシートで把握・・・本人・上司・人事で共有。部署・部門ごとに綿密につくる キャリアシート例、パソコンスキル編、サービスマナー編 ・不足しているスキルを放置せず、スキルアップ制度を活用するように促す・・・職務能力を等級にする、能力主義の給与などで「できない人」をスキルアップに導く ・図式をチャート化し、論理的思考を養う・・・チャートを利用してコミュニケーションするようにする。論理的思考を養い、わかりやすく説明するくせがつく ・社内研修制度を見直し、実践力を高める…社内研修は人事・総務・教育担当が取りまとめる。講師はできる限り社内で。経営者の理解者が必要 ・教育訓練給付金制度、キャリア形成促進助成金を活用・・・ハローワークで確認できる。一応助成金一覧もあった ・O・J・T制度を確立、即戦力として活躍できる写真を育成・・・トレーニング責任者をきめて、人事と情報共有。社員を育ているという愛情が基盤 ・社外講師のメリット・デメリットを把握して、研修を行う・・社外講師を採用するときは、経営者だけでなく人事や現場と相談すべき。講師への評価も必要。社内では指摘しにくいところを指摘してもらえるメリットもある。 ・社員を的確に評価する人事考課から、自己啓発を促す。・・評価する側は評価される側に明確な評価理由を説明する。今後の仕事に期待していることを示す。 ・社内表彰制度、昇級試験制度を見直す・・キャリアアップやマンネリ化防止に役立っているか検証しよう。 ・資格推奨制度と等級制度を給与制度にリンクさせる・・・給与は成果主義で、「できない人」は反発することを理解。資格や職能は給与に反映せよ ・自社独自の仕事の進め方をデータベース化し、共有する。・・手間がかかるが大切なプロジェクトである ・詳細な職務分析から適正職務配分を実践・・・職務分析をしよう。各社員がどの職務内容に、どれほど時間をかけているか記録していく、記載は人事か上司がおこなう。事務職であってもどのように利益貢献しているか分析する必要がある。そのうえで、職務マニュアルなどを作成統一化を検討 第5章 「できる人」を辞めさせないために 「退職したい」といわれる前にシグナルを見抜こう。 申し出があってから翻意は難しい。内定がでている人もいる。他社からほしいといわれる人が、自社から出ていく理由をじっくり考えよう。「できる人」は転職するとき離職率を気にする。退職者がでるのは「できる人」をとるときに不利になる。 ・「やりたいことがある」という退職理由対処・・・「できる人」なら、それ以上に「できる人」でないと説得は無理。単に方便にしている場合もある。 ・「家庭の事情」・・制度を活用してもらおう、前例がなくても前向きにとらえよう、サテライトオフィスなども検討しよう。「できる人」を育てるには柔軟な雇用体系、就業規則を変更するぐらいの前向きな行動が望まれる。 ・「待遇不満」・・昇給は特例なし、あいまいにしない。他社との比較をしてみることは必要。自社の将来性を語れなければ、「できる人」は残ってくれない。 ・「特に理由はない」・・引き留めてくれるか試しているだけの人もいるので、どこかで見切りが必要。また「できる人」が精神的に疲れている場合には励ましなどは逆効果。環境を検討し、人間関係などを調べて、人事は理由の把握に努めるべき。 第6章 それでも「できない人」には解雇・退職勧奨をする 前提は「人を活かす」こと。企業にとって解雇はあまり好ましいことではない。 解雇に至るにしても、そのまえに現場まかせにせず、人事も積極的にかかわり、人を活かす方法を考えるべき。 頻繁に解雇を行う企業では、「できる人」は自分でやめていく。 解雇の種類 普通解雇・・・就業規則の普通解雇事由に相当する事実があって行われる解雇。解雇理由について客観的合理性と社会的相当性があるかがポイント。解雇予告が必要 懲戒解雇・・・就業規則上のもっとも重い懲戒処分が科されておこなわれる解雇のこと。労働者が企業秩序に違反した場合、使用者が制裁として労働者に課す。 懲戒処分には、懲戒解雇の他、戒告、訓告、減給、出勤停止、降格などがある。 終了規則に明記されている懲戒規定が必要。退職金もなしが減給が一般的。解雇予告不必要。 整理解雇・・・会社経営上の理由で人員削減が必要な場合の解雇。解雇予告が必要 整理解雇の要件 1 人員整理の必要性・・・客観的に高度な経営危機の状況 2 解雇回避の努力・・希望退職の募集、出向、一時帰休、配置転換など具体的な努力がなされた 3 人選の合理性・・・解雇の基準及びその適用が評価者の主観に左右されず、全社員を対象としていて合理的であること 4 解雇手続きの妥当性・・労働組合と対象者に整理解雇について十分協議し、納得を得るように努力したこと。 解雇予告・・解雇の30日前に労働者に対して行う。使用者が労働者に対して解雇予告手当(平均賃金)を支払うと、その日数だけ予告期間を短縮できる。郵送の場合は労働者に届いた時点からの日数。 解雇予告が必要ないケースもある。日雇いとか、2か月以内とか、季節業務とか。 「できない人」を解雇するには、そのまえに配置転換や研修などの措置をとった事実がないと、解雇権の濫用とされることがあるので注意。 解雇制限のある期間 業務上の傷病による休業期間とその後30日・・・労働基準法 産前産後の休業期間及びその後の30日・・・労働基準法 信条・国籍・・・労働基準法 女性であること・・・男女雇用機会均等法 育児休業を申し出たため・・・育児休業法 正当な理由のない解雇・・・民事裁判 法律もいろいろあるので社会保険労務士や弁護士に確認する。 退職勧奨・・・使用者が社員に退職を勧め、それを受け入れた社員から企業側へ退職願をだし、本人の意思で退職するのが一般的。 退職勧奨の場合、会社都合による退職なので、数週間後に失業給付がうけられる。 丁寧に説明しないと、解雇されたと誤解する社員がいるので注意すること。 解雇する人の将来を考えるのが円満に解雇を行う秘訣。 著者は能力不足の人ほど解雇ではなく退職勧奨で時間がかかっても説得するほうがいいといっていた。対外的にも聞こえがいいから。 事務的に対処すると、不満を労働基 準監督所や弁護士にぶつける人もいるので、あずはよく話をきいて、解雇される人のためにできることを考えよう。場合によっては求人を探してあげてもいい。自社で活用できなかったが他の分野で活躍できるかもしれない可能性を本人に示す。 感情的になる人、途方に暮れる人、いろいろなタイプがあいる。 本人のプライドを傷つけず、業績不振を理由に人事が頭を下げておさまるなら、それも検討しよう。 解雇通告後に予想される出来事 希望するなら、ハローワークなどを紹介し、離職票、予告手当などを速やかに処理する。 不服を申し立ててくる社員からは逃げずに、本人と親身に話すことが大切。 人事だけの判断で無理なら、その旨伝えて、必要なら社会保険労務士やなどに判断を仰ごう。裁判になったら人事が口にした言葉がとりあげられることがあるので注意。 最初は了承しなくても、感情的にならず、冷静に話をすすめよう。こちらが感情的になれば相手も感情的になる。 ネットなどで誹謗中傷などをされることもあるが、合法的に解雇手続きをしていればまず問題はない。 経営者が「できない人」に予告手当をだすのをいやがったりするが、法令順守をといて問題を大きくしないようにしよう。 解雇を通告された人が知り合いに相談する場合があるが、知り合いには不利なことはいっていないもの。人事としては労働基準法くらいは把握して対応したい。 チャートで「できない人」をやめさせる手順がのっていた。 具体的ケース ・出勤状況が悪い社員 2週間以上の正当な理由のない欠勤で督促に応じない場合は、労働基準監督署に懲戒解雇の認定をもらう。 遅刻や欠勤が多い場合は警告を経て普通解雇として取り扱う 求める能力に満たない社員のケース 具体的にどこが満たないのか指摘して、改善するように求める必要がある。円満退社を第一に考えるなら能力不足は補足で、業績不振をもちだすのも合法的ではないが、やってみる価値はある。退職勧奨で会社都合で辞めてもらえるように背得するべき。 懲戒解雇に該当する社員のケース。 就業規則があることが前提。解雇予告認定申請書を労働基準監督署に申請して認定をうける。 業績不振によるケース 整理解雇は事前に組合と交渉。大量なら再就職支援企業を活用。業績不振があいまいであると認められないことがある。解雇者には「できない人」を整理するのではなく、人件費を削減して業績を回復するためであることを前面にだし、プライドを守り理解してもらう。 性格、行動に問題がある社員のケース 現場で一人をスケープゴートにしていないか公平に判断。こういったケースでは感情的になりやすいと心得よ。減速として解雇予告手当を支給して辞めてもらうようにする。現場スタッフの環境を見直す。 休職中の社員のケース 復帰が難しいと判断される場合は、休職者をみすてるのではなく、本人の将来に最善の策を人事がとる姿勢を示す。復帰後の退職の方が転職しやすければ、そういった措置も考える。急がずタイミングをみること。社会保険関係の手続きについては親身に説明すること。 第7章 解雇通告にまつわるQ&A 「できる人」は最初から「できる人」ではない。 社員に仕事の楽しみと喜びを与え、「できる人」にするのが強い企業である。
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