子どもの頃から、父と将棋をして勝ったことがない。 何度やっても面白いように防御を突破され、 攻撃はことごとくその意図を読まれた。 嬉しそうな父の顔が心に残る。 お陰様でまだ元気である。 でも、もう将棋を指すことはないだろうから、 父は無敗のまま勝ち逃げるすることになるのだろう。 父との思い出はなぜか悲しく切ない。 僕もまた父であり、かつての父と同じ道を、 その背中辿るように歩くからだろうか。 将棋もまた、悲しく切ない。 その将棋を愛し愛され、裏切り裏切られ、 それでも将棋とともに、 誰よりも純粋に、不純に生きた男の記録。
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