カル・ラウスティアラ/〔著〕 クリストファー・スプリグマン/〔著〕 山形浩生/訳 森本正史/訳
出版社名 : みすず書房
出版年月 : 2015年11月
ISBNコード : 978-4-622-07940-8
税込価格 : 3,888円
頁数・縦 : 356,28p・20cm
タイトルの「パクリ」とはくだけた表現ではあるが、内容はいたってマジメ。無断コピーや模倣は創作とイノベーションを阻害することなく、むしろ活性化させるということを、ファッション、食、アメフト、データベース、フォント、音楽などの分野を例に検証する。
【目次】
第1章 コピー商品とファッションの虜たち
第2章 料理、コピー、創造性
第3章 コメディ自警団
第4章 アメフト、フォント、金融、ファイスト裁判
結論 コピーと創造性
エピローグ 音楽の未来
【著者】
ラウスティアラ,カル (Raustiala, Kal)
リフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)法律学教授。デューク大学を卒業後、ハーヴァード・ロー・スクールで法務博士号(J.D.)を、カリフォルニア大学サンディエゴ校で政治学の博士号(Ph.D.)を取得。専門分野は国際法、国際関係、知的財産。
スプリグマン,クリストファー (Springman, Christopher)
ニューヨーク大学法学部教授。ペンシルヴェニア大学を卒業後、シカゴ大学ロー・スクールで法務博士号(J.D.)を取得。専門分野はコピーライト、知的財産、法と経済学、特許、商標。
山形 浩生 (ヤマガタ ヒロオ)
1964年東京生まれ。東京大学都市工学科修士課程およびMIT不動産センター修士課程修了。大手調査会社に勤務、途上国援助業務のかたわら、翻訳および各種の雑文書きに手を染める。
森本 正史 (モリモト マサフミ)
翻訳家。
【抜書】
●独占理論(p12)
創作者には、コピーを作る権利の独占権が必要、という考え方。
イノベーションの多くは、考案は難しいがコピーは簡単である。もしコピーが許されるなら、模倣者が安価にオリジネーターの成果を複製するため、新しいイノベーションと創作への投資は妨げられる。
●実用物(p41)
ファッション・デザインや料理が著作権で保護されない理由。
アメリカ人一般の著作権法に関する考え方……実用物なら自由にコピーしてもかまわない。
実用物……服や家具、照明設備といった、創造性が実用性と密接に混ざり合っているもの。機能性をもつ。
●地位財(p60)
『エコノミスト』誌による定義。
〔(地位財)は誰もが買うものだ。ハンマーや洗濯機など、本質的に実用性を求めて買われるものもある。地位表示物は、それを買った人にそれらが何かを言い表すがゆえに買われる。それらは自分のステータスを確立し、それらを持たない人々と比べてステータスを誇示するための手段だ。スポーツカー、おしゃれなリゾートで過ごす休日、流行の最先端のデザイナーの服などがそうだ。〕
●流行のサイクル(p65)
ファッション・デザインのコピーとは、ファッション・サイクルを加速する燃料である。
コピーがスタイルの普及を加速させる。
普及が早ければ早いほど、衰退も早い(ファッションで、普及が進むと飽きられる)。
衰退が早ければ早いほど、新しいデザインへの欲求も早く、強くなる。
●クリックラップ契約(p106)
クリックラップ契約……透明フィルムのパッケージを破った時点で使用許諾契約の成立とみなす契約。
●コピーとイノベーション(p133)
コピー防止の真の目的は、イノベーションの動機を与えること。もし、コピーがイノベーションを減退させないなら、コピーそのものは問題ない。
ファッションと食の世界を見ると、コピーは必ずしも有害ではない。
●改変屋(p210)
改変は、パイオニア的なイノベーションを大して抑えたりしない。むしろそれを奨励する。
スティーブ・ジョブズは、「繰り返し巨大なビジョナリーで発明家だと言われてきた」。だが実は、「ジョブズは改変屋の面のほうがずっと強い」。「あの世代最高の改変屋だった」。(マルコム・グラッドウェル)
●ファイスト裁判(p240)
ファイスト出版社対ルーラル電話サービス社の裁判。
電話帳の名前や電話番号は、誰でも自由にコピーできる、という判決。ABC順の配列に関しても、独創性がないので、著作権保護を認めず。
事実だけしか載っていないデータベースは、著作権を認めない。
アメリカのデータベース業界は衰退すると思われたが、データベースが保護されるヨーロッパより繁栄している。
●コピーと競争(p252)
コピーと競争はコインの裏表。競争と創造性がコピーと共存できる場合は、知的財産権で縛らないほうがいい。
〔驚くほどのイノベーション産業において、競争、コピー、創造性のすべてが混在しており、そしてこうしたすばらしい事例を見れば、知的財産システムは正当にもそこに口をはさもうとしていない。〕
●創造的産業に共通する特徴(p255)
1. トレンドと流行はいくつかの創造的産業で大きな役割を果たす。
2. 一部の産業では、法的措置が無力だったり非実用的だったりする場合でも、社会規範がコピーの抑制や方向付けに重要な役割を果たす。
3. いくつかの産業では、創作者や所有者がその財を、製品ではなくパフォーマンスであると再定義することでコピーの悪影響を鈍らせた――そしてそれにより、コピーによる経済的成功への影響を低減させた。
4. さらに他の創造的産業では、イノベーションのコストを下げるオープンソース方式の持つ力を重視してる――そしてそれによりイノベーションを増やしている。
5. 先行者優位性は、たとえ後でコピーされても十分な価値を一部の生産者に与えることで、イノベーションが十分に収益をもたらすものとしている。
6. 最後に、いくつかの事例ではブランドと商標の力が示されている。ブランドはコピー製品の市場シェアを抑えられるが、コピーはブランドを宣伝する役割も果たす。このような効果は、コピーの費用についてまったく違う見方をもたらす。
●音楽産業(p270)
1999年から2009年までのあいだにアメリカのレコード会社の収益は激減したが、コンサートのチケットの売り上げは、15億ドルから46億ドルに増えた。
「120年にわたるレコード・ビジネスの歴史には、パフォーマーがレコードによって大金を稼いだ時期があった」。ジャガーは言う。「しかし、それはとても短い期間――だいたい、1975年から1990年の15年くらいのことでしかない」。(Zoe Heller, "Mick without Moss," New York Times, December 3, 2010)
(2016/3/21)KG
〈この本の詳細〉
honto: http://honto.jp/netstore/pd-book_27526599.html
e-hon: http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000033366927




