(円卓の騎士さんからいただきました。ありがとうございます) 過日放映された松本清張原作のドラマです。主演田村正和、広末涼子、水川あさみさん。原作は読んだ記憶がありますが、中身は忘れました。藤田監督が清張をとるのは『砂の器』以来だ(と思う)。
(ドラマ原作の短編は、新潮文庫『張込み』に収録) さて、感想を端的に述べますと、駄目だった。藤田監督は好きなんですが、今回はどうも。 ただこれには説明が必要です。撮影が始まったという時から楽しみにしていたドラマです。ただ報道を聞いていたら、どうやら現代が舞台らしい。この時点で不安でした。というのは、地方紙を買う理由は、地方の小さな事件は東京にいてはどう報道されるかわからないからですが、現代ではネットで地方新聞も結構読めます。つまり現代では成立しづらい設定だということです。藤田監督は時代物が得意なので、そうしてくれるかもと期待していたのですが。 しかしそれだけで駄目とは言いません。予算的都合もあるでしょうし。そこはぐっと言葉を飲み込んでみてみました。しかしそれ以外も駄目であった。それはAKBが出ているからではない(ただし不要だとは思った)。ホンの問題です。絵の問題でもない。 【以下ネタばれあり要注意】 一言で言えば盛り上がらないという感想です。一本調子すぎると思う。これは失礼ですが脚本の竹山氏の責任だと申し上げたい。疑わしい彼女がやはり犯人であった・・・この場合は脚本を相当練るべきです。原作とは別に、このドラマの筋からいえば、欠けているのは殺された二人がどういう人間だったかについての描写であります。それを描かなさすぎ。 田村さんが捜査しに被害者の男の家を訪ねます。心中扱いだったため(つまり浮気だ)西田尚美さん演ずる妻は夫の位牌も押入れに入れ、子供たちも落胆している。田村さんがお父さんに手を合わせて上げてと言わざると得ないほど。この描写の基本線は犯人の彼女に非難を向けさせるもの。しかし実はこの男は犯人をゆすっていた。これについて全く説明なく終盤にいきなり明かされる。実は犯人にも同情すべき点がある、と終わりに言われても困ります。 むしろ彼女に対する疑惑はほとんど頭から示されているんですから、中途から、悪いのは彼女ではないのではないかという方向転換を図るべきだった。見ているこっちが、ははあ、こいつ悪女だな、と思った頃に、そうとも言えないか、と転がす方が絶対に面白い。むしろ彼女に対する捜査から被害者の捜査に切り替えるべきだ。そしてゆすりを突き止める方がいい。しかも警察でなく作家の捜査らしいではありませんか。 それは彼女の動機がわからないまま終盤へ行ってしまうという問題も同時に解消できる。ホン的にはホワイダニットの体裁になってしまっているが、それはたまたまそうなってしまっているだけです。どうせならそれを突き詰めるべきでしょう。中途で「動機がわからない」と言わせているんですから、ちゃんとやればいいと思う。 というのも、犯人広末涼子さんはなかなか良かったからです。彼女が作家に好意を持ち始める描写で、なかなかうまくやっていた。近づいてくるのは殺意のためか好意のためか、という線をうまく演じている。それが実にもったいない。作家が実は彼女は悪女ではないのではないかと見抜かせれば、この筋の転換ができたはずだ。どうしてそれをやらない。そうすれば最後の彼女の激怒も説得力がぐんとアップしたと思う。 というわけで、駄目であったのだ。絵に関していえば、当たり前ですけど、いい。ただいささか三人ばかりが出ている点が気にはなった。まるで世界には三人しかいないみたいだ。抽象画的な美しさを目指したのかもしれないとは思いましたが、それは目指さない方がいいと思う。もっと生活感があっていい。↧






