『新書漢文大系1 論語(新版)』 吉田賢抗 2002/07
著者経歴不明。 『論語』全編の解説書。
初版は1996年出版。総ルビで音読に適している。
『論語』は孔子(前552-前479年)やその弟子たちとの言動を記した本。20編から成る。儒家の主要な教科書である四書(論語・孟子・大学・中庸)の一つ。戦国末期から漢代初期(前3世紀後半頃)にできたらしい。日本に最初に伝えられたのは285年とされる。江戸時代に各藩校で大いに読まれ、広まった。
第1編・学而は「子曰く、学びて時に之(こ)れを習う」に始まり「人知らずして慍(うら)みず、亦(また)君子ならずや」と結ばれる。前半部分は良く知られているが、後半はあまり知られていない。世の人が自分の学徳を認めてくれなくても、不満を抱かないということ。
第2編の最終節:「子曰く、其の鬼(き)に非ずして之れを祭るは、諂(へつら)うなり。義を見て為(な)さざるは勇無きなり、と。」 後半部分は現代日本でも使われる文章。前半部分の意味は、「自分の祖先の霊(其の鬼)でないものを祭るのはへつらいである」ということ。
第4編第2節:「子曰く、不仁者は以(もっ)て久しく約(やく)に処(お)るべからず」。意味は「仁徳の無い者は逆境に長く耐えられない」。うーむ、考えさせられる。
第5編第4節の途中:「回や一を聞きて以て十を知る」。回は弟子の顔回のこと。「十を知る」の十は完全・全体の意味で、一との数量的な比ではない。
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