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模倣の殺意   中町信著    創元推理文庫  

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       模倣の殺意 (創元推理文庫)     

私はこの本を読んでいて何故、津久見伸助と中田秋子がお互いに話し合わないのかとそれを常に疑問に思っていた。そうすればこの事件もすぐに解決するはずであり、その糸口がつかめるはずだと思っていた。そこに大きなカラクリがあったのだ。

秋子は1年前の話であり、ルポライターの津久見伸助は今年の話だったのだ。坂井正夫は同性同名が二人いて、大学ノートを置き忘れていったのは製薬会社に勤め、港区芝浜松町にアパートに住む坂井正夫である。彼はくるな旅館の1室で原稿を書き、その下書きの大学ノートを旅館に忘れてきた。そして昨年の77日に死んだ。一方、北区稲月町に住んでいる坂井正夫は昨年の6月にくるな旅館に泊まり、子供の手術を告げる南療育園からの電話で慌てて宿を発った。推理小説マニアの番頭の手違いから大学ノートに書かれた原稿は誤ってこの坂井正夫に郵送してしまった。

そして後日、第2作目に難渋し続ける坂井はその大学ノートの作をおのれの作品として編集部に渡したのだ。

彼は盗作したが、瀬川恒太郎もだった。柳沢邦夫は瀬川恒太郎の盗作の秘密を知っているが、その誤配の事実を知っているのは中田秋子だけである。結局中田秋子に会いに来た坂井正夫は盗作した本人だった。

 この本は何回も前に遡って見ざるを得なかった。

 


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