『大隕石衝突の現実』 日本スペースガード協会 2013/04 著者は天体衝突から地球を守る目的で1996年発足、会員数400名超。 小天体と惑星の関係や監視体制についての本。 現在、確定番号がついた(=軌道が判明している)小惑星は35万、仮符号を含めると60万個ある。 2013年2月にロシア・チェリャビンスクに落下した隕石は直径17m、質量1tが空中20kmで爆発した。分裂しないで大地に衝突すると、広島型原爆の25倍のエネルギーだった。太陽方向から地球に近付く軌道だったため、衝突前に発見することはできなかった。 地球で最大のクレーターはカナダのサドベリー岩体(直径200m、カナダ、18.5億年前)といわれる。1500万トンのニッケルと銅を産出した。小惑星起源ではないとの説も有る。有名なのがユカタン半島のチクシュルーブ・クレーター(クレーターの直径180km、隕石の直径10km、6500万年前)。白亜紀を終わらせ、恐竜を絶滅させた最有力原因とされている。 最近の日本では1996年1月につくば市に落下したつくば隕石がある。高度30kmで分裂し23個が回収されている。最大178g。 地上から観測できる10cm以上の人工物体は1万個以上。人工衛星は5%で他はデブリである。 宇宙塵の年間降下量は数万トンと推定されている。地球に近付く天体をNEO(Near Earth Object)と呼ぶ。NEOには小惑星と彗星があるが、その区別はあいまいである。 地球に衝突した小天体の10%が彗星であれば、地球の海を作ることが可能であることから、海の起源が彗星であるとの説がある。 直径10km以上の小惑星は、ほぼ発見され、当分危険のない軌道である。しかし直径1km程度のものは、未発見が大部分。直径10m以下は大気で燃えるか分裂するのでほとんど被害はない。直径500mの小惑星でも”衝突の冬”によって世界の農業生産は壊滅的になる。直径150mあれば関東平野は全滅だという。 現在NEOの観測は夜中の真南の黄道上を中心に行われている。地球の内側から接近する天体を警戒するため、宇宙から観測する必要があるという。
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