サイエンス・フィクションという文学ジャンルがあることは承知しているものの、実際の作者としてはジュールベルヌとH・G・ウェルズしか知らない程度の人間にとって、当該書籍はおどろきです。こんなにも、しかも、ハヤカワ文庫だけで発行されているとは知りませんでした。
以前は、文庫を発行している岩波やら新潮やら角川やらの出版社が、自社発行作品の目録を無償で提供していましたが、今もあるのでしょうか。書籍帯に記されているような短い解説が掲載されていて、それを頼りに、次に読むものを決めていた時代を思い出します。
当該書籍『はじめに』、「〈SFマガジン〉2015年4・6・8号で連載した特集企画を単行本化したものです。ハヤカワ文庫SFの1番から2000番まで、その内容および読みどころやSF的意義について、百人以上のSF作家や評論家がレビュウしました。それぞれに思い入れのある書籍をレビュウしていただいたので、『あの人がこの作品を!』という意外性も楽しんでいただければ幸いです」とあります。
1ページ三段組編集で、レビュウは、一作品につき1段、シリーズものは2段~2ページがあてがわれています。ざっと見て、まず最初に読んでみたいと思った R・A・ラファティの『九百人のお祖母さん』のレビュウを以下に引用してみます。
「本書はR・A・ラファティの最初の十年から二十一篇を選りすぐった第一短編集である。ファン投票でも上位を占める傑作が多く、初めて読むラファティとしても最適だ。// ラファティ世界では人がとめどなく増え、子供は恐ろしく早熟で、時間と空間は極端な振る舞いをする。語り口は誇張と捻りに満ちてユーモラスだが、一作ごとに豊かな知識による多様なネタが逆説と矛盾をつなぎに凝縮されており、法螺話の階段を下りていたつもりがSFの階段を、形而上学の、神話の、詩の、歴史の、と刻々と足場がずれ、思いがけない場所に振り落とされる。どうすればこんな話を書けるのかが全く判らない。一度ラファティに翻弄されると、『巨馬の国』の蜃気楼の山を目指す人々のように、再びそこへ戻らずにはいられなくなるのだ。 (西島伝法)」(レビュウ横には、表紙写真とクレジット表記)
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