「基礎から学べる「はなとやさい」づくりの園芸用語事典」 著者:肥土邦彦 発行:誠文堂新光社 肥土邦彦(ひどくにひこ)氏 1947年埼玉県生まれ。東京農工大学農学部卒業。東京都農業試験場栽培部、同江戸川分場、同八丈島園芸技術センターにおいて、花卉栽培、野菜栽培などの研究に従事。その後、園芸専門学校教授、東京農業大学短期大学部助教授(嘱託)などを歴任。現在、講演、園芸教室などで、家庭園芸における植物栽培の楽しみの普及に努めている。 主な著書:『ユリ(NHK趣味の園芸―よくわかる栽培12か月)』(NHK出版)、『園芸植物―庭の花・花屋さんの花(フィールド・ガイド)』(小学館)ほか多数。 花や樹木の名前などまったく興味のなかった取引先のFさんが家を買ったのは何年前であろうか。 家族の要望を取り入れ、郊外に庭付きの家を建てるべく土地を探していた。 条件の合う物件に出会うまで数年掛かったかと思うが、倉庫の代わりに使われていた古い空家の建つ土地を入手したとのことだった。 土地の整地の際、奥様のお父様が「植えられている南天だけは残すように」と告げられたことも聞き入れ、新しい家を建てた。 新築祝いの挨拶に伺い、庭を拝見させて頂いた時は南天が一本あるだけだったが、人知れぬうちに庭作りを始めたようである。 庭造りの本や、植物辞典などかなり読んだようで、しばらくして会うと専門家と思う程に植物や園芸などの専門用語が会話のなかに折りこまれており、南天を残すように告げた義父の言葉の意味も分かったという。 植えられている南天の「難を転ずる」話をこれから何回か聞くことになりそうだ。 本書は、園芸に関する用語を植物の状態や作業の工程を踏まえ、写真やイラストを示しながら解説された書き物である。 ガーデニングや家庭菜園、盆栽など、植物を育てるために必要な知識や技術を身につけるには、園芸用語の正しい意味を理解することが必要だという。 見慣れない言葉を理解することにより、植物図鑑や専門書の読解が深まり、正確な情報収集につながるようだ。 また、一部の園芸書などでは誤った使われ方をしていたり、正しい意味の説明がないまま使われている用語があるそうだが、このような用語が整理され、理解の混乱も避けられそうである。 植物の分類、名前などの植物の基礎、葉・茎・根・花などの植物の形、繁殖、剪定などの園芸作業、道具・資材、土・肥料、病気・害虫などが解説されており、園芸用語1175語が収録されている。 植物や園芸に関する、コラムやまめ知識の書き物も充実している。 本書は、タキイ種苗株式会社の月刊誌『園芸新知識』に、2005年1月から2009年12月まで「肥土先生の園芸用語学習塾」として連載したものに加筆、訂正したものだそうである。 俳句を置かせて頂く。 南天の実に惨たりし日を憶ふ 沢木欣一
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