裁判で捕まった元担任教師は無罪を主張した。 違法な取り調べがあったというのだ。 慌てる検察と警察。 勝ち誇る加害者の妻だったが、彼女の不安は消えなかった... 加害者家族の妻は実家が金持ちの勝気な女として描かれている。 徐々に淪落していくのは予想通りか。 被害者家族は静かな落ち着きを取り戻していくが、 父親の変化が印象に残った。 殺害当初は「恥だ」「賠償はどうなるんだ」と騒いでいたのだが、 妻の不倫が決定的になり、仕事の部署が変わり、 加熱した報道にさらされて、痩せて老けこんでしまい、 なんだか別人のようにものわかりのよい人になっていった。 悟ったような雰囲気も漂う。 姉も暴力性はなくなり、どこか諦観したように 自分の人生を生きなければと考えるようになり、 紆余曲折があるのだが、大人になっていく。 家族再生の物語でもあるのだろう。 真裕子は年齢的にも性格的にも一番、刺激を受けており、 教師や生徒たちに対して醒めた気持ちになったり、 母の後追いを夢想したり、 人と関わりたくないから農学部を志望したりする。 しかし若者ならではの出来事に直面するたび心は揺らいでしまう。 この辺の書き方はベタなのかもしれないが、 女性作家ならではの上手さがあると思った。 取り調べや裁判ではミステリー要素も色濃く出ていた。 かなりの力作ではないだろうか。
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