「ソーの舞踏会」 バルザック作 柏木隆雄訳 (ちくま文庫) 伯爵の結婚のときに作った夫婦財産契約がもたらす、愛と憎しみの物語です。 『人間喜劇』の「私生活風景」に分類されています。 昨年2014年に出たちくま文庫「ソーの舞踏会」に収録されています。 訳が新しいため、文章はとても分かりやすいです。
27歳のポール・マネルヴィル伯爵は、1821年にパリからボルドーに帰りました。 無能だが、お人よしでエレガントな伯爵は、その社交界の花形になりました。 そこでポールは、美しいナタリー・エヴァンジェリスタ嬢に恋しました。 そして結婚を申し込みます。その母親の恐ろしさも知らずに。 ポールの運命を決めたのは、結婚に先立つ夫婦財産契約の話し合いでした。 能天気なポールと違う部屋で、公証人同士が火花を散らせていました。 ポールの公証人は69歳のマティアス。ナタリー側は若き実力者ソロネ。 相手の罠を次々に見破るマティアスによって、ポールは勝利したように見えたが・・・ 最初から最後まで、いらいらしながら読みました。主人公のポールに対して。 ポールは、お人よしというよりバカですよ。 「マネルヴィルは意気地のない男で、頭も悪く、紙粘土みたいにぐにゃぐにゃで、 何でも人の言うまま、何にもできないのさ。」(P255) まさに、紙粘土男! エヴァンジェリスタ夫人と闘って負けたのなら分かります。 エヴァンジェリスタ夫人と 戦闘状態にあることすら知らなかったとは! こういう男は救いようがありません。同情する気にもなりません。 こんなバカ男のために尽くす公証人や友人がかわいそうです。 この情けない主人公よりも、ずっと印象に残るのが、公証人マティアスです。 アホな依頼人の利益を守り抜くため、全力で戦うこの老人に、公証人魂を見ました。 「夫婦財産契約」は、この本の三編の中で、私的にはもっとも楽しめた作品です。 法律用語がぽんぽん出て来て、わけが分からなくなりますが、面白さは抜群です。 もうひとつの「禁治産」は、他では読めない貴重な作品です。 実直なポリノに判事魂を見ました。やりきれなくなるのは「夫婦財産契約」と同じ。 さいごに。(マンガにはまっている娘) よく、「ゲームに夢中になって親の言う事をちっとも聞かない」と耳にしますが、 最近うちの娘は、マンガに夢中になって、親の言う事をちっとも聞いていません。 今読んでいるのは、「チビデビ」というマンガです。 頭にきて「もう買ってやらん」と言ったら、お小遣いで続きを買ってきました。↧









