かつて角川文庫から発売された短編集を
徳間が復刊した一冊。
どの世代、どの時代が読んでも、楽しめる、それが赤川次郎先生の
作品だと思います。
「闇の足音」はとても切なく悲しい一編。
最後に刑事が見せた優しさ(哀れみ)が少しは救いです。
「探偵物語」は勝ち気な女性とダメ男という、赤川先生王道
パターンの一作。
「脱出順位」、主人公の過去と現実が交差する作品。
最後がとても清々しく終わります。社長が良い。
「特別休日」はもう、普通に実社会、そして現在でもありそうなお話。
休み明けに机がなかった・・・という話もありますから・・・
表題作はそっくりすぎて間違えられた男の物語。
赤川先生の作品には殺し屋が多く出てきますが、
どこか憎めず、そして完全悪でないんですよね。
この作品も実際に人が死んでしまうのですが、最後は
大団円になっています。
最初に刊行されたのが1981年。そんな古さを感じさせない、
もうこれは赤川次郎作品最大の持ち味なのかもしれません。
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