母の世界 (16) 作 元川 芹香 〈一卵性親子〉 「バーバってどういう性格?」 子供達に聞くと二人とも声をそろえて 「お母さんと同じ~」 と答える。親子だから似ていて当然だが、兄いわく私と母は 「一卵性親子」 なのだそうだ。 あえて反論させてもらえば、好みは全く相反する。ロマン派の母に対し現実派の私。どんなに強要されようが、全く韓流には興味がわかない。 外見重視の母に対して、すぐに人の内面性を覗いてみたくなる私。薔薇のように華やかに咲きほこる花よりも、さりげなく風にゆらぐニゲラのような花に目がとまる。 何事も大ざっぱな母、人が気にしそうにない所が妙に気になる私。納得のいかない私は 「どこが同じなのよ~?」 しつこく子供に尋ねた。 「全部だよ!エッ自分でわかんないの?話し方やせっかちな所なんか、お母さんに 『バーバ!』 って言ってしまいそうになるよ」 これまで自信タップリと母を書き綴ってきたが、裏をかえせば自分の事なのだろうか?。そうならエライ墓穴ものだ。 〈逆さ吊りの刑〉 母と私は良く昔を回想する。「あら、私そんな事したかしら…」 母は自分に都合の悪い記憶は消去してしまうらしい。残念ながら子供は楽しいことより辛い思い出のほうを記憶しているものだ。 兄が登園拒否をした時の話。庭の池の上で幼い兄の足を持ち逆さまにし、頭が水面ギリギリまでくると 「これでも行かないのか!」 と脅した 『鬼婆(姑が命名)伝説』 は今も語りつがれる。 「当時は強い男の子に育てる為、流行していたアメリカの育児書どおり一生懸命やってたのよ!」 と弁解。兄のトラウマになってなければよいが…。 <つづく>
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