世界各地の紛争現場で武装解除の任務にあたっていた伊勢崎賢治が語る国際紛争の実態。 筆者は国際NGOの現地責任者として、シェラレオネ、東ティモール、アフガニスタンなど、各地の紛争地域に赴いたそうだ。対立するグループの武装解除の任務にあたったり、インドネシアから独立したばかりの東ティモールでは県知事となって、新たな国づくりにも参加したり。世界の戦争を間近に見てきたらしい。 そんな「紛争屋」が高校生に、世界の紛争について語った講義が本書の元になっていて、普段めったに知ることのできない紛争のリアルに接することができる。 国連憲章によると、紛争が起こっている地域がある場合に、国連は基本的に内政には干渉しないということが原則になっている。あくまでも当事国の自治にまかせるのが基本だ。だが、紛争がどんどんエスカレートしていって、内戦が激化したような場合には、国連も介入せざるを得なくなる。経済制裁を加えたり、さらに問題が紛糾している場合には軍事的措置を加えて鎮静化を図るのだ。 だが、実際には第三者の介入というのはそんなに簡単に行くものでもない。お互いに憎しみ合って殺し合いをしている当事者同士をどうやって武装解除させるのか? 並々ならない努力が求められる。 もちろん介入する方も紛争に巻き込まれるので、犠牲者も出てしまう。介入することで、かえって問題がこじれて、新たな火種が生まれてしまうことがある。ひどいときには、多国籍軍による人道的な介入と見せかけて、実は資源に関わる利権のための介入だったなどということもある。 本書には、こうした国連による集団的安全保障についての様々な事例がふんだんに出てきて、世界の紛争がどのように国際的に対処されているのかが見えてくる内容だ。ルワンダ、東ティモール、アフガニスタン、ソマリア、リビア、シェアラレオネ、インドなど、世界各国の紛争地での経緯が具体的に書かれていて大変興味深い。 「ブラックホーク・ダウン」という映画にもなったソマリアの内戦への介入が、実はアメリカの資源に関わる国益が動機になっていたなどということも書かれていて、本書を読むまで知らなかったので、ちょっと驚いた。こういう本を読むたびにアメリカのイメージが悪くなっていくなあ……。 日本の安全保障の問題についても語られている。昨今話題になっている個別的自衛権や集団的自衛権、憲法の問題なども書かれていて、紛争屋からみた日本の自衛隊についての話も興味深かった。 国際的な紛争の経緯などについて丁寧に説明しているし、紛争の現場ではどんな問題があるのかを知ることもできる。国際紛争が一筋縄ではいかないことが分かるいい本だった。
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