不思議な感覚になる本。①脳天壊了、②ニュージーランド、③乞食谷、④寓話、⑤東堂のこと、⑥お供え、⑦常寒山の7編が収められている。いづれもこの世の話でありながら、死後の世界とか何とか不思議なことに通じる。それには著者の79歳という年齢も影響しているのではないか、それとももともとこのような作風なのか。
① 使用人として虐待といえるような状態にあった杢平が主人の中瀬が死んだことにより、昔のことをいろいろ思い出す。
② 名も無い主人公がニュージーランドへ行きたいと船に乗るが、一向にニュージーランドに到着しない話。
① 蟹トク子という女の家の隣の空地に乞食と思われる人達が住み、喧嘩する。
② 桑木石道とその子の栄光と挫折の物語
③ 殿様の息子で、明治10年生まれ、昭和38年1月1日に死んだ東堂の生涯
④ 神様として祭られる女性の話
⑤ 腰の曲がった老女と明夫の話が交互に出て来る。明夫と登山に一緒に行く下村一平は同一人物か、同性愛の関係か?
なんだか、わけの分からん小説集だ。