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『税と格差社会』

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『税と格差社会』 林宏昭 2011/07 税と格差社会―いま日本に必要な改革とは  著者は関西大学経済学部教授。 格差是正の観点から日本の税制を考える本。  「近年不平等が拡大傾向にあることは明らか」と述べつつも、元になっているジニ係数の0.43(93年)から0.53(08年)は税引き前の数字である。税引き後、再分配所得で比較すると、0.36(93年)から0.37(08年)とほぼ変化なしだ。つまり数字上は格差是正が上手く機能していることを表している。  政府が果たすべき役割は、①資源配分 ②所得再配分 ③経済安定機能 の3つ。租税原則は、①公平 ②中立 ③簡素。  GDP比の税(+社会保険料)負担を比較すると、日本はOECD諸国内で突出して低い。  総税収に対する法人税の比率は、日本はOECD諸国内で突出して高い。  消費税の逆進性というのは、所得の上昇と共に所得に対する消費の割合が低下し、結果所得に対する負担率が低下するということである。  著者は平均的な給与を上回る者への所得税負担増加を考えるべきと述べる。配当課税は2重課税で見直されるべきとの意見。  現在の日本の消費税にも非課税品がある。介護保険サービス、助産費用、火葬料・埋葬料、障害者用物品、授業料・教科書など。  格差社会への対応という面からすると、消費税はふさわしくない。それを財源とした支出を組み合わせることで、再配分が実現される。  以下自説。  消費税やガソリン税などの、所得に対する逆進性を問題にするのであれば、所得税で調整すればいいのであって、消費税内で無理に対策をとろうとするから複雑で無理筋な話になってしまう。個別の税金にあれもこれもと特例を付けるのが政治家の悪い癖だ。

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