以前この原作をドラマ化された時にテレビで見て興味を持ちました。
シリーズ化されていたのですがその時は1冊だけ読んでたのでした。
最近新刊が出たことを知り、それを読んだら遡って読みたくなりました。
企業からリストラを請け負う会社に勤めている主人公。
その企業の社員の面接を行い、退職への勧誘(?)をおこなう仕事です。
もちろんすべての社員が退職に応じるわけではありません。
それゆえ、どういう選択をするのかドラマがあります。
リストラを依頼される会社がだいたい「あの会社?」とわかるような社名になっていてしかもその業績とかもわかります。
小説を書くにあたってリサーチされているんでしょうね。
フィクションなのに実話みたいに思えてきます。
それぞれの章のそれぞれの人にドラマがあり、なんだか考えさせられます。
どの本から読んでも楽しめるようになっていますが順次読んでいくと主人公やその会社の社長の経歴などがわかってきます。
借金取りの王子 (君たちに明日はない 2)
- 作者: 垣根 涼介
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2007/09
- メディア: 単行本
収録されているのは
「二億円の女」
「女難の相」
「借金取りの王子」
「山里の娘」
「人にやさしく」
表題作「借金取りの王子」
なんだか違和感のある書名でしたがこの章には、最後にしてやられました。
どの本も短編集なのですがこれはその表題になるのが納得です。
1作目の「君たちに明日はない」は山本周五郎賞受賞作だそうです。
「借金取りの王子」は山本周五郎の世界を垣間見た感じでした。(と私が勝手に思うだけです。山本周五郎の世界ってこんなんかなあ・・・なんて。)
このシリーズ最後に読んだ本で、古い出版年でもあり、あまり期待していなかったので余計に心に響きました。