第五百五十八話_short 大型連休だ!
「さぁ、いよいよ大型連休もど真ん中だぞ!」
俺はニコニコして言った。昨日も一昨日もお休みだから、たぶん世の誰よりも長い大型連休なのだ。
だが、妻はちっとも嬉しそうではない。むしろ苦悩に満ちた表情で俺の顔をじっと見ているのだ。
「なんだ、どうした? せっかくの連休だからみんなでどこかへ行こうじゃないか」
しかし、長男は少年野球の練習に出かけてしまったし、次男は幼稚園に行ってしまった。連休とはいえ、今日は土曜日、幼稚園などはお休みじゃないのだ。
「まぁ、今日はこういうことだから、明日はドライブにでも出かけるか!」
せっかくそうやって家族サービスをしたいと思っているのに、いったい妻の態度はどういうことだ? 口をへの字に曲げて言うのだ。
「あなたねぇ、ちょっとは私たちのことも考えたらどうなのよ」
な、なんだ? お前たちのことを考えて家族サービスしようって思ってるのに? 妻は続けた。
「ほんとうにあなたは呑気でいいね。なにが大型連休よ。いったいどうするつもりなの?」
どうするもこうするも、いまこの大型連休を楽しんだ方がいいんじゃあないか? 俺はそう思うのだが、妻の思いはちがうらしい。
「もうそろそろなんとかしてもらわなくっちゃ」
女はいつもこうやって男を現実に引き戻す。仕事を失ってもう半年余り。このご時世になかなか仕事も見つからなくて。そうなのだ、俺はこの半年ずっと連休。間違いなく誰よりも大型連休なのだ。
了
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