「伯爵と妖精 恋よりもおだやかに見つめて」谷 瑞恵 妖精と謀略とドキドキの英国風ファンタジー
伯爵と妖精 恋よりもおだやかに見つめて (伯爵と妖精シリーズ) (コバルト文庫)
- 作者: 谷 瑞恵
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2011/12/27
- メディア: 文庫
プリンスに誘拐された以降の記憶を失ったエドガーと
「友達」として付き合うリディアの中編および、
新婚時代とリディア両親の短編の3編を収録 シリーズ27巻目。本編の中編+短編1編。 本編である中編は、イブラゼルでの決戦後、帰るところ。 記憶を失ってしまったエドガーを抱え、 たまたま妖精界の海域にひきこまれてしまっていた客船に合流、 シルヴァンフォード公爵子息が「お忍び」で アシェンバート伯爵として恩師と令嬢、友人とともに船旅をしている、 という設定で船に乗り込むものの、再びこの船が妖精界に引き寄せられ…。 エドガーが久々に妖精を信じていない昔に戻っているので、 孤立無援になりそうなリディアとの関係性がとても面白いです。 でも昔のままじゃないのですよね。 エドガーの記憶は戻らないけれど、確かに積み上げた時間がそこにはあり、 リディアも、周りも、そして読者も、やきもきすることもありつつ、 何とか手探りで進んでくるエドガーが見どころ。 面白い設定で、それを上手く活かして描いているなあ、と思います。 やっぱり安定のベテラン作家さん。 でもこれだけだと、読者も「うわあ、もやもやするー」という気持ちに 陥ってしまいそうなのですが、そこにこれです、短編2本。 あの懐かしい、新婚時代のお話。 それから、リディアの両親のお話に更にリディアがフェアリードクターになる きっかけになったエピソードも絡めるとは…! 読者が欲しいものを分かってるー!という感じで。 それにしても小さいリディア、可愛いですね。 リディアとエドガーの子どもも、きっとこんな感じなのでしょうね。 それはともかくエドガー…13歳で止まっててこれかよ! …と、つっこまずにはいられない人、きっと多数です…。 --------------------------------- 文章・描写 :★★★★ 展開・結末 :★★★ キャラクタ :★★★★ 独 自 性 :★★★★ 読 後 感 :★★★ --------------------------------- 菜の花の一押しキャラ…レイヴン 「きみの知っている僕に、少しは近づけただろうか」(エドガー・アシェンバート)