スポンサーリンク アサキオリジナル小説「追憶④」 第一話はこちら ◆5 『題名:朗報あり 本文:2月23日に遠藤さんが参加する写真の展示会あり(夕方から簡単な食事が出ての立食パーティー) 都合がつけば村上にも来てほしいとのこと。もちろん参加だよな?笑 』 僕はメールを読むなり慌てて河内さんの座席に視線を動かした。河内さんは澄ました顔でパソコンに向かっていたが、僕の視線に気が付くと一瞬だけ不敵な笑みを浮かべ、直ぐにその顔をパソコンのスクリーンに戻した。 それからしばらく経つと河内さんが徐に席を立ち、喫煙所に向かう姿が見えたので、僕は怪しまれない様に注意しながら、ゆっくりとタバコの箱に手を伸ばして後を追った。 喫煙所では既に一本目のタバコを吸い終わったのであろう河内さんが、ベンチに座り僕のことを待っていてくれた。 僕がタバコに火を付けるのをさらに待ってから、河内さんは直ぐに本題に入った。 「遠藤さんが趣味で写真をやっているっていうのは前にも話したよな。それで年に一度その仲間達で小さな会場を借りて展示会をやっているんだ。俺は去年もそれに呼んでもらっていてさ。お前の事情を知っているからには、是非にと思ってさ」 河内さんは社内で唯一、僕の遠藤さんに対する思いを知っている人だった。年が近いこともあるが、話すと非常に気さくで、この人になら話をしても大丈夫だな、と思えた初めての先輩だった。 「ありがとうございます!!」 僕が深々と頭を下げてお礼をすると、河内さんは不敵な笑みをさらに深めた。 「そして、なんとビックリ。この展示会に誘われているのは、この会社では俺とお前だけなんだよ。去年は遠藤さんが企画部で仲良くしている同僚も誘ったんだけど、その人はお前が入社する前に寿退社して、遠く北海道に行っちゃったからな」 僕は嬉しさ以上に、いま目の前にいる先輩の水面下での行動力に恐れをなした。 「河内さんと遠藤さんに、そんな繋がりがあるなんて全く知りませんでした」 「みんな社内じゃ澄ました顔をして仕事しているけど、心の中で何を考えているかなんて、分ったもんじゃないからな。俺も3年働いて色んな噂を耳にしたけど、今はそんな話どうでもいいんだよ。お前にとっては願ってもないチャンスなんだから色々と話をしろよな」 それだけ言うと河内さんは喫煙所を出ていった。 スポンサーリンク
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