「伯爵と妖精 祝福の子か夜の使者か」谷 瑞恵 妖精と謀略とドキドキの英国風ファンタジー
伯爵と妖精 祝福の子か夜の使者か (伯爵と妖精シリーズ) (コバルト文庫)
- 作者: 谷 瑞恵
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2012/08/31
- メディア: 文庫
再び縮まるエドガーとリディアの距離。そして2人の子どもの力…。
囚われたフランシス。パトリックの正体。テランの企み。目が離せない急展開 英国、ヴィクトリア朝時代が舞台のファンタジー・ライトノベル。 30冊目にして第29巻、本編です。 女王の用意した屋敷で束の間の平穏な生活を送るリディアたちの下へ、 ロタ&ポールが訪ねてきます。そしてもたらされる囚われのフランシスからの手紙。 秘密の手紙から情報を得て、調査に向かうレイヴン&ニコ。 何となくフランシスのおかれた状況が理解された頃には、 その身を案じて事情を伏せていたのが仇となり、 フランシスに誘われて、リディアがロンドンに単身向かってしまい、一同は大慌て。 相変わらず、お互いのことを考えるのが裏目に出る、というのが巧く描かれます。 テランのもとへ単身、リディア奪還に向かうエドガー、 危機一髪で子どもの力らしきものに救われるリディア。 何とか最終的には丸く収まって、ようやく伯爵邸に戻った彼らに、 列車事故の報がもたらされるのです。 パトリックに呼び出され、母の故郷を訪ねていたリディアの父、 カールトン教授が乗っているのではないかという列車の。 前巻でついに、記憶を失っていてもプロポーズしたエドガーですが、 お互いに困惑中。得意のすれ違いをしながらも、何とか距離が縮まりました。 そして、2人の子どもについても、少しずつ見えてきました。 それは呪われた子だというダネル。 救世主になるはずだと考えるフランシス。 ただでさえ不安な初産の妊婦を、更に不安にさせるという極悪非道のダネルです(苦笑)。 今回のフランシスは、何だかんだで地味地味と活躍していました。 意外に気骨のある人物でした。 そしてこれまで微妙な立ち位置だったパトリックも、正体がとうとう判明。 彼とアウローラ、彼とカールトン教授、そしてカールトン教授とエドガー。 実は「家族」がクローズアップされる巻でもありました。 それにしてもリディア母、アウローラ。 もしも生きていたら…と思わずにはいられないほどの存在感です。 いない人がここまで存在感をもつとは。 --------------------------------- 文章・描写 :★★★★ 展開・結末 :★★★★ キャラクタ :★★★★ 独 自 性 :★★★★ 読 後 感 :★★★★ --------------------------------- 菜の花の一押しキャラ…エドガー・アシェンバート 「ああ、リディア、感慨深いよ。おれより小さかったあんたが、
アウローラと同じように赤ん坊を産むなんて」 (ニコ)