評価:★★★☆
ダメ男の彼氏と理不尽な職場に愛想を尽かし、契約社員の身分を蹴り飛ばして
上海へと一人旅に来たヒロイン・弥生。
そこで知り合った蓮介は、ベンチャー家具メーカー・レゴリスの
若き経営者であった・・・というわけで、
弥生と蓮介のラブ・ストーリーが始まるわけだが。
そこに絡むのは上海出身のモデル・シュウメイ。
レゴリスのCMキャラクターに抜擢され、爆発的な人気を得ていく・・・。
明るく元気で漢前、でも屈折してる部分もあって・・・
とにかく弥生というキャラがとても魅力的。
経営者として、時には冷酷非情な決断を下し、
ひたすらレゴリスの維持発展を目指す蓮介。
そんな蓮介が、弥生とふれあっていくうちに、
すこしずつ心境に変化が生じていく・・・という、
ベタと言えばベタな展開なんだが、
そこは道尾秀介だね。とても面白く読ませてくれる。
ミステリではない。もちろんSFでもホラーでもない。
ちょっぴりサスペンスっぽいところは無くもないけど。
普通だったら、まず私が読むことはないジャンルの小説と言っていい。
だけど手に取ったのは、もちろん作者が道尾秀介だったから。
で、結論は「とても面白かった」。
現在のところ、「今年読んだ本ベストテン」を作れば5位以内に入る。
この作品、TVドラマとの連動企画作品とのこと。
道尾秀介が原案 → それを元にドラマ化 → それを小説化
という流れだという。
ところが、私はここ30年くらい
TVドラマというものをマトモに見たことがない。
はっきり言って「時間の無駄」だと思ってるので。
(もちろん例外はある。NHKの大河ドラマの何本かとか「刑事コロンボ」とか。
「ガリレオ」は5年前のは見たけど今年のは見てない、とか。)
だからもちろん、この作品のドラマ版も知らない。
で、本編を最後まで読み終わってから、wikiで見てみた。
そしたらまあ驚くことばかり。
「蓮介がキムタクだった!」とか、「風見が日本人じゃなかった!」とか
いろいろあるんだが、いちばんびっくりしたのは
「ドラマ版には弥生が存在しない!」だった!
ドラマ版のヒロインは「真絵美」と言う名で、
職業はインテリアデザイナー、演じるは篠原涼子だった。
何とヒロインそのものが存在しないわけで、
小説版とドラマ版は舞台が同じなだけでほとんど別モノ。
ちなみに、読んでる間に私が頭に描いていたキャストは
(もちろん、ドラマを見ない人間なので、
CMに出てるような俳優さん女優さんしか思い浮かばないんだが)
弥生は井上真央、蓮介は竹野内豊だった。
弥生の井上真央は、読み始めてすぐに決まったんだが
蓮介はなかなか決まらなかった。で、ふっと思い出したのが
ちょっと前まで放映されてた缶コーヒーRootsのCM。
アレに出てた竹野内豊をちょっと若返らせると、私の思い描く蓮介になるんだなあ。
なんだかどうでもいいことを長々と書いてしまった。
ドラマ版を見る気は全く起きないが、小説版は傑作だ。