哲学書を読んでみたいと思いつつ何から読めばいいかわからない方にお送りする、オススメの哲学書特集です。
●哲学者によるエッセイ
哲学者というのは例外なく優れた文筆家でもあり、非常に味のあるエッセイを書きます。難点といえば、哲学者故に使う言葉が時にとてつもなく難解なことですが、それでも専門論文とは違って随分読みやすいものになっています。僕の考える、「わからないなりに読む」という哲学書の鉄則を実践するには、この哲学エッセイが入り口としては適しているかもしれません。
『孤独な散歩者の夢想』
岩波文庫 青 623−1
ジャン・ジャック・ルソー
岩波書店
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紀伊國屋書店
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この本を読んで、散歩というものに対する僕の考え方は変わりました。一人になって心静かに歩きながら自分の周囲を見渡してみると、実にこの世界は騒がしいことに気が付きます。騒がしいとは、騒音という意味ではなく生命のエネルギーに満ち溢れているという意味です。木々のざわめき、水のせせらぎ、鳥のささやき…人の話し声があるうちは気が付くこともなかった、自然の声を聴くという喜びを知ったのです。
『九鬼周造随筆集』
岩波文庫 青 146-2
九鬼 周造
岩波書店
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『いきの構造』で知られる九鬼周造による随筆集で、京都は円山公園の枝垂れ桜への思いを語ったもの、運命と偶然の違いを論じたものなど、愛と知性に溢れる名文の数々に酔いしれること間違いありません。僕がなぜ近代文学を始めとする明治の作品が好きなのかというと、日本語が美しいからなのです。この点だけは、漢文学の色合いが薄れた現代の文章は、どう逆立ちしても近代文学には勝てません。一流の思想家による文章ともなれば、その味わいは一層深いのです。
『汝の敵を愛せ』
アルフォンソ・リンギス
洛北出版
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現代の哲学者で一番好きな人は誰かと聞かれたら、僕は「旅する哲学者、アルフォンソ・リンギス」の名を挙げます。すさまじい行動力で世界中を旅する人で、現地での経験と自身の知が結びついて出来上がる独自の哲学は他のどんなものとも違います。誰だったかは忘れてしまいましたが、「類書を思いつかない」と評していた専門家がいたぐらいです。そして、この人は実は地下鉄サリン事件の時に日本にいたのです。事件の翌日に彼は仙台空港で強烈な哲学的体験に遭遇し、そのことを本書で語っています。

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