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『健康に老いる』

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『健康に老いる』 後藤佐多良 2012/11 健康に老いる 老化とアンチエイジングの科学  著者は順天堂大学大学院客員教授。 老化のしくみと抗老化に関する本。  どんな生物にも死は確率的に訪れる。最長寿命の1/3~1/4を過ぎると死亡率が指数関数的に上昇する。  日本人の三大死因(がん、心疾患、脳血管疾患)がすべてなくなった場合、寿命は6年強延びる。100歳以上で亡くなった長寿者から推定される日本人の最長寿命は、女性で122歳、男性で115歳。  同じ病気でも、高齢者の病気は若者の場合とさまざまな点で違う。この背景に生物学的老化がある。老化の進行速度は個人差が大きく、疾患を持つ人は多くの疾患を同時に持つことが多い。  握力の弱い人は死亡リスクが高いというデータがある。握力の強さは全身的な筋肉量や筋力、代謝能力を反映していて、それが生命力に関わっているという。  V(ビタミン)CやVEが不足すると酸化傷害が原因の不調が起きる。食事の量が少なかったり、栄養バランスが悪い人はサプリメントが必要だが、健常人では不要。特定のサプリメントの大量摂取は有害である可能性がある。  抗酸化物質のポリフェノールは、酸化促進物質としても働く。コエンザイムQの抗老化作用は疑わしい。体温の低い人は高い人よりも長寿だという調査結果がある。  定期的な適度な運動は酸化ストレスを軽減させる。これは「運動ホルミシス効果」だとされる。運動で発生する活性酸素が適度であれば、酸化ストレスに対する抵抗性を高めるように働く。過剰な運動であれば、活性酸素の害が勝る。  寿命が延びるというカロリー制限によるストレスも、ホルミシス効果であるという。酒が適量なら百薬の長というのもこれ。ポリフェノールなどの抗酸化サプリメントも、抗酸化作用ではなく、適度な酸化ストレスのホルミシス効果ではないかと述べる。  放射線についてもホルミシス効果が報告されているが、どんなに線量が低くても危険と主張する人たちもいて結論は出ていない。運動不足による発がんリスクは、200~500mSvの被曝に相当する。


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