「ポールとヴィルジニー」 サン=ピエール作 鈴木雅生訳 (古典新訳文庫) 自然の恵みと母たちの愛に包まれて育った、少年と少女の悲しい恋の物語です。 フランス革命の直前に刊行され、純愛小説の代表作として知られる傑作です。 とても手に入りにくい作品でしたが、2014年に古典新訳文庫から出ました。 美しい挿し絵が20点以上収録されていて、丁寧に作られた本です。
インド洋に浮かぶ弧島に、隣り合う二つの小屋がありました。 二つの小屋では、それぞれ若い妊婦が、人目を忍ぶように暮らしていました。 同じ年に、ポールという男の子と、ヴィルジニーという女の子が生まれました。 ポールとヴィ ルジニーは、まるで兄妹のように仲良く、一緒に育てられました。 慎ましい暮らしでしたが、そこには美しい自然があり、母の愛がありました。 二人は純粋無垢な自然児として成長し、お互いに愛情を抱くようになりました。 いつまでも続くかと思われた、楽しくて幸せな日々・・・ しかし、ヨーロッパから届いた一通の手紙によって、二人は・・・ 展開はとても分かりやすくて、結末も予想通りです。 しかも、泣けます。さすが純愛小説の王道です。 ところで、作者サン=ピエールの生涯が面白いです。 彼もまたボーマルシェと同じく、フランス革命期の人。波乱に富んだ人生です。 22歳で軍隊に入り、24歳で離脱し、ヨーロッパ中を3年間放浪します。 虚しく時を過ごし、30歳でようやくモーリシャス島で職を得ました。 滞在の2年余りは、仲間とうまくいかず不遇でしたが、のちに実を結びます。 この間、モーリシャス島の風土に興味を持ち、自然を研究していたからです。 そして帰国してから、あのジャン・ジャック・ルソーと知り合ったのです。 ルソーの勧めで「自然の研究」を書くと、一躍時代の寵児となりました。 そして革命の前年1788年に、その本の第4巻として出たのが本書です。 「ポールとヴィルジニー」は、たちまち大評判になりました。 この小説はのちに長く、純愛小説の王道として読まれ続けました。 しかし、ルソーとの関係から考えると、違った面が見えてきます。 物語を遮るかのように、時に語り手の老人が教訓を垂れます。 島の自然の美しさとその恵み、西洋の文明の汚れとその暴虐。 案外、作者の言いたかったことは、そこにあったのではないかと思います。 「自然のうちや人の心のなかには無尽蔵の宝が宿っているのだ。」と。 ナポレオンもまたこれを愛読し、サン・ピエールはドヌール勲章を受けます。 ところでナポレオンは、どういう気持ちで次の一節を読んでいたでしょうか。 「人間の一生というのは、そのあいだに何を企てようとも、 結局は死を頂点とする小さな塔を建てるようなものだ。」(P214) さいごに。(プリクラ) 土曜日に勇気を出して、娘と一緒にプリクラを撮りに行きました。 今を逃すと、娘とプリクラを撮ることなんか、一生ないだろうと思ったので。 最近のプリクラは進歩していて、自動で目を修正してくれたりするんですね。 娘の顔はかわいくなったのですが、私の顔はちょっと気持ち悪くなりました。↧






