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著作権の現在(中山信弘著「著作権法」第二版から)

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いま「著作権法」第二版(中山信弘著)を読み出したところ。まだ「はしがき」を読んだにすぎないが、法律のしろうとでもなんとか読みこなせそうな内容である。 ’07年の初版のはしがきの冒頭には、おおよそ次のようなことが記されてある。 ********** 本来、地味な法律で、社会の注目を浴びることの少ないマイナーな法律であったものが、情報の波が怒涛のように世界を飲み込むようになるなか、特許法と並んで財産的情報の保護法の中心的存在である著作権法が脚光を浴びるようになり、デジタル技術の発展とそれに伴う通信技術の発展により、著作物は経済財としての重要性を高め・・・、そうした中、個々の大衆までもが著作権法と関係を有するようになり、社会は《一億総クリエーター》と呼ばれるように・・・なった。 ++++++++++ さらに、14年発行の第二版はしがきには、著作権をめぐる現在の状況が次のようにしるされてある。中山教授によれば、著作権法の現在は、“鬼が出るか蛇(ジャ)が出るか”の様相で、蛇は、蛇にとどまらない可能性もあるらしい・・・ ********** 「著作権の強化と、ネットにおける自由を求める動きは双方とも強まり、この対立は当分の間収まる気配はない。他方、このような状況の下でコモンズの思潮も強まりつつある。コモンズの思想は、知的財産法、特に著作権法の機能それ自体に疑問を投げかけており、情報は独占させることではなく、むしろ共有させることにより文化は発展すると考えている。そして抜本的な法改正が困難な現在、民間の力で解決をしようとする動きも盛んになりつつある。例えば、ネット上のウィキペディアでは、世界中のボランティアが、金銭も名誉も求めず、無償で情報を提供し、結果的にネットにおける巨大な百科事典となり、既存の出版物としての百科事典を駆逐している。ネットに流れる情報の自由利用を目指しているクリエイティヴ・コモンズも同様の運動である。 このような流れを見ていると、情報の独占的な利用から生じる利潤だけが創作へのインセンティヴではないことが判る。人は何故、金にも名誉にもならないのに、他人の為に懸命に努力をするのか。金銭的な利益を離れても、人は新たな創作をしたいという本能的欲求があり、そしてその知識を他人に伝達したい、人の役に立ちたい、という欲求で行動を起こすのかも知れない。それは従来から人に備わっている本能的なものとも考えられるが、従来は他人に伝達する術が少なかった。しかしネットの発展によりその本能的欲求が一気に吹き出し、パンドラの箱を開けたように、人を無償の行為に駆り立てているのかもしれない。一般に贈与経済と言われるような、ボランティアに支えられた経済が無視できない存在となってきている。無償のOSであるLinuxが世界中で使われているように、ボランティアの無償の行為が実体経済にも大きな影響を与えつつある。つまり金になるというインセンティヴだけでは説明できない経済が生じており、これが知的財産制度にどのような影響を与えるのか、ということが問題となるが、我々は著作権制度を過信しすぎているのかもしれない。これらの解明には、法律学以外の学問分野、例えば行動経済学(Behavioral economics)や心理学の助けを借りる必要があるかもしれない。 このような状況の下、著作権制度は一体何処に流されて行くのか、誰にも判らない。しかし大きな変化が待ち受けていることだけは確かである。この7年間でプラットフォームが確実に巨大化し、寡占化した。この巨大なプラットフォーマーの前では、契約が全てを縛り、いかに強力な著作権を有していても歯が立たず、著作権者はひれ伏して、プラットフォーマーの言うがままに、著作物を提供せざるを得なくなるかもしれない。そうなると、例えば音楽は1曲99セントで売られ、個性を失い、コモディティー化し、単なる消耗品と化すかもしれない。あるいは逆に、著作権が強化され、それが故に著作物の利用・流通の阻害要因となり、巨大化した身体を持てあました恐竜のような存在になるかもしれない。あるいはその双方が現れるかもしれない。 +++++++++++ 考えてみれば、確かにそのとおり、インターネットの普及とともにいつのまにか“頼まれもしないのに、金にもならないのに”、ブログを更新してきた。このように書き散らしているものが、財産とみなされ著作物として保護されるものとなるのかどうか知らないが、どうもそのようなものとなっているようでもあるらしい。また、自分の知らないうちに、張り巡らされた法律の網に抵触するようなことを行なって、著作権の侵害などをひき起こしているなどということもないとは限らない。そのように、知らないうちに、利益が生じたり、不利益を及ぼしたりすることを考えると、法の網の隅々に通じるに至らなくても、せめて法の大綱くらいは把握しておいてもよかろう・・との思いもあって、「著作権法」に手をだした。どれほど読めるかわからないが、ひととおり目をとおしてみようと思う。

著作権法 第2版

著作権法 第2版

  • 作者: 中山 信弘
  • 出版社/メーカー: 有斐閣
  • 発売日: 2014/10/27
  • メディア: 単行本

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