今日はなんだか朝から頭痛・・・。今日はスポーツクラブはパスしてしまいました。
朝からエアコン入れてしまったのですが、さっき消してみた。いまのとこなんとかなってます。あ、でも頭痛が悪化するようならまたエアコン入れます。
- 作者: 窪 美澄
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2012/02/22
- メディア: 単行本
それぞれに「死にたい」という思いを抱えた3人が、家族を装い日本の南の方にある湾に迷い込んだマッコウクジラを見物に出かけ、なんとか踏みとどまる、というおはなし。
1人目は北関東出身の農家の次男坊で東京でデザイナーとして働くも激務と失恋のため 抗鬱薬が手放せない由人。
2人目は由人の会社の社長で男性のような外見で部下をののしりまくる50歳前後の野乃花。クジラが迷い込んだZ県を捨てて東京に出てきた過去を持つ。
そして3人目は父の転勤でZ県に住む16歳の正子。母親からの過干渉と友人の病死によって引きこもりになってしまった。
由人の働く野乃花の会社が倒産し、練炭自殺をしようとした野乃花を思いとどまらせるためにテレビニュースで流れてきた迷いクジラを見に行こう!と由人は強引に野乃花を東京から連れ出し、そしてZ県の路上で魂を抜かれたようにふらふらと歩く正子を見つけた野乃花が仲間に入れる。
そんな3人が村のおばあちゃんの家に居候して親子3人でクジラを見にきたと嘘をついて数日過ごすうちに、3人の気持ちがそれぞれ揺れ動いていきます。
3人は「明日もなんとか生きていこう」と再スタートすることで3人の疑似家族が解散するところで物語は終わり。
危ういところで「死」を踏みとどまった3人がこれからどんな風に生きていくのか。そんなに楽な日々ではないだろうことは安易に想像できますが、この結末再生の物語としてはものすごい安定感があります。
と、ここまでは非常に一般論的な感想。
ここからはわたしの超個人的な感想。
実は由人、野乃花、正子に共通するのが「子捨て」の物語。
由人は3人兄弟の2番目で、母親は由人の兄と妹ばかりを可愛がり、由人のことはほぼ無視。由人はほぼ同居していた祖母に育てられます。
野乃花は非常に貧しい漁師の家に生まれたものの、金持ちの県会議員の息子に絵を習ううちに関係を持ち18歳で結婚、出産。ただ家の中で孤立し描きたい絵を描くことも出来ず、娘を捨てて東京へ出奔します。
正子は神経質で心配性な母親に手をかけられて育てられますが、なぜ母がそんなにも神経質になるのか。それは赤ん坊の頃に正子の姉を病気で亡くしているから。過干渉で過保護に見える正子の母親は正子の「姿」には過剰なまでに執着しているのに、「心」には無頓着。
つまり我が子を捨てた野乃花と母親から「心」を全く構われてこなかった由人と正子。
その3人が心を通わすことで救われていく物語なんですね。
読んでいてとっても苦しい1冊でした。でも3人にどんな救いが用意されているのかそれだけを楽しみに読んでいたのですが・・・。その手前で終了してしまいました。物語としては全然問題ない結末なんですけどね、わたし的にはちょっと落ち着かない結末だったのでした。
カオリ的感想おわり。