「九鬼周造『いきの構造』」 大久保喬樹 (角川ソフィア文庫)
日本人の美学である「いき」を、様々な角度から分析し解明した作品です。
西田幾多郎「善の研究」や和辻哲郎「風土」と並ぶ、日本哲学の名著です。
講談社学術文庫版は、詳細な註と解説が付いています。
岩波文庫版は、そのほか二篇が収録されています。
しかしオススメは、角川ソフィア文庫のビギナーズ日本の思想シリーズ版。
難解な原文を、分かりやすく意訳してあります。解説は各章にあります。
「いき」とは何か。それは、日本人の美学であり、「生き」かたの一つです。
それは、「媚態」を基本として、「意気地」と「諦め」に支えられています。
「媚態」とは何か。それは、異性との間に不安定な関係を持ち込むことです。
どうなるか分からないという、不安定からくる緊張感がその大事な要素です。
「意気地」とは何か。それは、容易に相手の意のままにならない誇りです。
「諦め」とは何か。それは、所詮この世ははかないものだという悟りです。
「媚態」は遊里を「意気地」は武士道を「諦め」は仏教を背景にしています。
「いき」は、この三つが三位一体となった、極めて日本的なものであり・・・
というように、実に明快で分かりやすい説明です。
そして傑作は、なんといっても第4章の「いき」の身体的表現を論じる箇所。
姿はほっそり柳腰、顔は細おもて、目は流し目で涙でうるみ・・・という。
「そりゃ、あんたの趣味だろ!」と突っ込みたくなります。
加えて、パリのストリップショーは野暮だとかおっしゃる。
「あんた、パリで何やってたんだ」 親近感がいっきに増してしまいました。
九鬼は結婚していながらも、ヨーロッパ留学中、多くの女と関わりました。
だからこそ、このような著書を残すことができたのでしょう。
しかし、この著書の根底に流れているのは、母への思いだといいます。
母は京都祇園の芸者で 、九鬼は生涯、母を慕っていたようです。
そして、母「お初」と不倫関係になったのが、あの「岡倉天心」でした。
今度はぜひ、岡倉天心の「茶の本」を読んでみたいです。
![茶の本 (岩波文庫) 茶の本 (岩波文庫)]()
茶の本 (岩波文庫)
- 作者: 岡倉 覚三
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1961/06/05
- メディア: 文庫
さいごに。(溶連菌再び)
娘がまた高熱を出して、医者に行ったら、溶連菌が再発したとのこと。
娘は少し喜んでいます。学校が休めるので。