山田風太郎の戦後日記文庫版、こちらが最終巻となりました。
昭和26年1月から始まるこの日記では作品を書き始める記述、どこまで書いた記述、書き終えた記述がばんばん出てきて、もうすっかり職業作家のようです。ファンなら知ってる初期作品のタイトルもちゃんと出てきます。編集者もしょっちゅう訪ねてきますし、原稿料のなまなましい話題にも事欠きません。年明け2日から、ちょうど合作をやっていた高木彬光が一日に三度来たりもしています。
それはそれとして、書くだけでなく読む側のペースもいっこうに落ちる気配がありません。ミステリも文学も小説の資料も、国内も海外も問わずに読みまくる様子は相変わらずで、何だか心が安らぎます。
興味深いのはたまに出てくる熱いミステリ論です。こんなエピソードもある人ですけれども、普段の全てから一歩距離を置いた冷めた視線が嘘のような語り口が印象的でした。そんなふうに熱心に語るとき以外は、終戦から既に6年が経った日本のありさまを冷徹に観察している山田さん(29)の考えることが、現代に読むとびっくりするほどタイムリーだったりすることがたびたびありました。歴史とは一周回って繰り返すものだと痛感します。
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山田風太郎『戦中派復興日記』(小学館文庫)
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